第22話 side栄、二人目の泥棒

♦︎♢♦︎♢♦︎


「ねえ強兵さん」

「なんですか?」

栄は強兵とペアになっていた。


「第二試験はその〜すいませんでした」

「すいませんとは……どういう?」


「いや、その、不意打ちしちゃって……」

栄の答えに強兵はハハハと笑う。


「ちょっなんで笑うんですか!?」

「いやだって、おかしいなって」

「?」


「私だって不意打ちのチョップかましたんです貴方だけが謝る筋合いはないですよ」

「そういうもんなのかな〜?」


「そういうもn」


二人が雑談をしながら歩いていると、突然強兵が栄の前から姿を消す。


「強兵君!」

栄が警戒しつつ周囲を探っていると突然空から楕円形の鏡が降り注ぐ。


守砂もりすなぁ!」


すると地面から発生した砂が栄の頭を波の様な形で覆った。


「なんなんだこれ!?」

混乱する栄だがその隙を突かれ砂を貫通した蹴りを後頭部に受けてしまう。


「がはっ!?」

「油断禁物、いや混乱禁物か」


栄が振り返るとそこには黒い目と口を持った笑う白い仮面をつけた男がいた。


「強兵君は……どこだ!」

栄は仮面男を強く睨みつける。


「教える訳ないだろ?」

仮面男は両手の掌を重ね合わせ、縦に離すと間に鏡が出現する。


(鏡を作り出す異能か?)

栄は距離を取りつつ戦闘態勢に入る。


砲撃砂球ほうげきさきゅう

栄は守砂の砂を巨大な球体に変形させる。


(それだけで討伐者になれるとは考えにくい)

「食らえ!」


すると超高速で砂の球体から砂が線状に放出され、仮面男に迫る。


「無駄なんだな〜」


仮面男の手元にあった鏡が一気に巨大になり、栄の攻撃を防いだ。


「なっ!?」

それだけではなく攻撃がすべて跳ね返り栄に向かってくる。


「そんなのあり〜!?」

栄は必死に避け、なんとか全弾命中は回避した。


「はあ、はあ」

(相手の異能の全容が不明な上、攻撃反射!厄介すぎる!)


「どうしたどうした〜?早く来たまえ眼鏡君」

「今策考えてるところだから邪魔しないでくれ!」


「策を練るなら相手の視界に入ってる時より

視界の外の方がいいって習わなかった?」


次の瞬間、大量の楕円形の鏡が栄に押し寄せる。


「守砂!」

今度は波状の砂が栄の前方に現れ攻撃を防ぐ。


「めんどいなあ」

仮面男は再び巨大な楕円形の鏡を出現させ、それを前方に向かって押し出す。


「いくら何でもデカすぎるってええ!!!!」

栄が守砂を解除し後方に全速力で走る。


「次はどこ行こっかなあ」

仮面男は完全に油断していた。


いや、正確には警戒はしていたが心のどこかで勝った気でいた。


「油断大敵ですよ、仮面の人」声に反応し仮面男が振り返ると拳が仮面にヒビを入れ、ズドオオン!という音と共に体が地面にめり込んだ。


「あがっ!」

「頑丈な仮面ですね」


そこには、強く手を握る強兵の姿があった

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