第17話 幸vs木沢&弁平

「落杭」

弁平がそう唱えた瞬間、幸を取り囲むように四つの大きな杭が落ちる。


熱体ねったい!」

幸が叫ぶと、幸の体が一瞬でとてつもない熱を帯びる。


「杭打ち」

「ぐっ!?」

すると幸の胴体に杭の尖っていない方が激突し幸は痛みに悶える。


「もーらい!」

その隙を見逃さず木沢は幸の後頭部を強く殴った。


「ぐっ!?」

(やっぱり二対一はキツすぎる、こうなったら!)


「っらあ!」

幸は全力で木刀を地面に振り下ろす。


「ぐおっ!?」

「これは。。。。。。」


瞬間とてつもない土煙が舞い、それが晴れる頃には幸の姿はなくなっていた。


「っち、逃げたか」

「いや、多分。。。。。。」


弁平が自分の考えを言おうとしたとき、背後から幸の木刀の振り下ろしが炸裂する。


「がはっ!?」

「このまま。。。。。。」


「なんちゃって」

「!?」


が、すぐに弁平が杭を飛ばして反撃する。

「やっぱ一筋縄じゃいかないか。。。。。。」


幸が策を考えていると右から木沢の飛び蹴りが直撃する。


「がはっ!?」

幸は吹き飛ばされそのまま地面に伏した。


「よし、急いで強兵の元に向かうぞ」

「了解」


そして二人が幸から目を背けて歩み出そうとした瞬間、目眩が起きて二人とも倒れ

掛かる。


「なんだ、これ」

「わかんねー、うっ」


木沢は吐き気にも襲われた。


「体がだるい。。。。。。まさか!」

弁平は慌てて振り返る、だがそこにはもう幸の姿がなかった。


「正解」

背後からそう聞こえ振り返るとそれと同時に木刀が弁平の顔に直撃する。


「ぐはっ!」

「弁平!」


「てめーは寝てろ」弁平を心配した木沢だが、その隙を突かれて木刀の横薙ぎを食らってしまう。


「ぐおっ!?」

「残念だったな」


「あ?」


弁平の言葉に幸が振り返ると、そこには巨大な杭の平面が幸の目と鼻の先にあった。


「ぐふっ!?」そして杭は幸の顔にめり込み幸はそのまま吹き飛ぶ。弁平は

立ち上がりながら言う。


「おそらく異能で俺たちを熱中症にでもしたんだろうが、軽度で戦闘ができないってほどではなかったぜ?」

「。。。。。。」


「それじゃあ退場してもらう」


そして弁平が幸の輪に触れようとした瞬間、異変が起きる。

「。。。。。。え?」


弁平がガクンと倒れたのだ。

「おいどうした!?」


木沢が心配そうに声を掛ける。


「いや、大丈。。。。。。」

ここで弁平は一つのことに気付く。


(目眩に吐き気、ダルさ、これは。。。。。。)弁平は幸の方を見るが先ほどとは違いたしかに幸はそこにいる。


(どういうことだ?まさか俺が来た時にいたやつが戻ってきたのか?)


弁平は思考を巡らせるが、次の一言ですべてが無駄となる。

「。。。。。。いいねえ」「?」


それは間違いなく幸のもので、見ればそこには立ち上がろうとする幸の姿があった。「なっ!おまえ!」


「来いや馬鹿ども、まとめて退場させてやらあ」

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