入学試験編

第8話 11年後

ー11年後ー

ピピピッと目覚まし時計が鳴る。

「うーん」

幸は手を伸ばして目覚まし時計を止めようとするが寝ぼけていたためそのまま床に落下する。


「いたっ!」

幸は後頭部を押さえながら起き上がる。11年前のあの日、幸は討伐者になる選択をした。討伐者の道は険しく、命の危険はもちろん底辺のまま定年を迎える者だっている、輝けるのは一部の人間のみ。


だがそれでも、幸は両親を守りたかった。討伐者にならずとも守れたが、異成を討伐者以外が倒すと犯罪になってしまうためこの案は却下された。


「母さんおはよー」

「おはよう、朝ごはんできてるわよ」

幸が下に降りるとテーブルの上に置かれたトーストと目玉焼きが目に入る。


「いただきまーす」

幸は朝食をガツガツと食べ終え、部屋に戻って支度をする。

「いよいよ試験かあ緊張するなあ」

今日は幸の第一志望校である銀星学園の受験日、もともと早起きだが幸はいつもより10分早めに起きていた。


そんなこんなで試験会場に幸は時間ピッタリに到着し、試験が始まろうとしていた—————————


ー銀星学園試験会場ー

(結構いるな。。。。。。さすが日本屈指の討伐者育成高校)

銀星学園、これまで数々の討伐者を輩出し中には無名から一気に超有名人になった者がいるほどの超名門校。


合格率は90%と高い、だがそれは書類審査を突破できた場合に限る。書類審査で過去の成績や部活動、ボランティア経験などを見られ、後日結果が送られる。


これで志望者の70%は落ちる。さらにそこから10%が落ちるとなるとどれほど厳しいかは用意に想像がつく。


数分経ってから一人の男がマイクを握りしめて受験生に向けて話し始める。

「えーオホン、みなさんこんにちは、今回の試験を担当させていただきます芝岸しばぎしと申しますよろしくお願いします」


(やべー緊張してきた。。。。。。)

「えーそれでは早速始めようと思うのですがその前に受験番号1番から68番の方はそこの熊時さんについていって筆記試験会場に向かってください、そうじゃない方はここに残ってください」


銀星学園は普通の学校とは少々違うシステムが存在する。そのうちの一つが受験番号。銀星学園ではまず初めに書類審査で受験者が戦闘型かサポート型かを判断し、受験番号で二つに区切る、戦闘型は実技試験、サポート型は筆記試験を最初にする。ここでいい結果を残せば、後の実技又は筆記試験をスキップしてそのまま合格出来る。


「さて、気張らないとな」

幸は静かに準備を始めた。



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