第5話 六本腕の異成
赤桜と出会ってからというもの、毎日俺は一人でいる時に赤桜から様々な情報を得た。例えば討伐者という異成を倒し人々の平和を守る存在についてだったり、ほとんどが討伐者で構成された組織『ローディン』についてだったり、俺より一年も前に来てるだけのことはある。
そしてそれが少しづつ当たり前になっていたところで、事件は起きる。それは幸が父親と幼稚園から家へ帰る途中でのことだった。
「参ったな。。。。。。」
幸と父親は渋滞に捕まっていた。
(こりゃ結構長引きそうだな。。。。。。)
幸がそんなことを考えるながら窓を見ていると、がしゃん!と大きな音が鳴り響いた。
振り返ると窓越しにいたのは別の車の上にのる六本腕の褐色男。目は白目の部分が黒く、黒目の部分的は黄色で白髪。明らかに異成だった。
幸が呆けていると、父親が携帯を取り出す。
「とりあえずローディンに通報しないと、幸、お前はじっとして」
父親が言い切る前に気絶する
「父さん!?父さん!」
幸の呼びかけに父親は微動だにしない。
「とりあえず誰かに助けてもらわないと。。。。。。」
助けを呼ぼうとして車の扉を開けた次の瞬間、いつの間にかいた六本腕の男によって幸めがけて刀が振り下ろされる。退くことでなんとか避けたが危なかった。危うく死んでいた。
「おめえ、なんで俺の異能を受けて平然としてやがる」
「と、父さんになにをした!」
「?俺の異能で気絶させただけだ、安心しろ、質問の答えを聞いたあと全員皆殺しにしてやる」
瞬間プツっと、幸の中のなにかが切れた。「。。。。。。す」「あ?」「ぶっ殺す!」
こうなることは必然だった。何故ならこの父親と母親は幸に愛とはなにかを教えてくれた最初の二人だったからだ。首切丸時代、五歳だったころ、武士である父が反乱を起こし、処刑された。
母親は首切り丸を知り合いに預けて雲隠れ、愛なんて一度も受けたことがなかった。ただ過大な期待と将来を決めつけられていた。
そんな彼にとって、この二人のことを好きになるなという方が無理だろう。そしてその一人を殺すと言われれば当然キレる。
「なにを。。。。。。」
男が言い切る前に、幸は空中でくるっと一回転して顔に踵落としを食らわせる。
「がはっ」
(なんだ今の。。。。。。ガキの跳躍力じゃねえ)
幸にとって男は巨人のようなもの、それの顔面に攻撃を加えられるということはかなりのジャンプ力である、だが本人は怒りすぎて気づいていない。
(ん?なんだ?)
男が幸の手を見ると赤く、そしてほんのわずかだが、湯気が立ち昇っていた。
(まさかこのガキ、異能を使ってんのか?)
(俺の皮膚はまあまあ硬ぇ、それなのにダメージを食らわせた。これはちょっと気い付けないと痛い目を見そうだな)
「お前は今ここで、俺が殺す」
「ガキが、調子に乗るな」
幸VS六本腕の人型異成、戦闘開始。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます