第2話 幼稚園
ー幼稚園の門前ー
(俺は一体どうなってしまうんだ……)
大きい門の前に立ちながら思考する。隣には自分の手を繋いで小さい箱で話す父親。幼稚園について聞きたくても聞けなかった、というか車という奇妙な形の箱に乗っていた際聞いても具体的には何も言わなかったので聞いても無駄だろうと考えていた。
そして奥から一人の男が門を開け一つの部屋に案内した。その部屋で父親と男が色々話した後、明日入園ということになった。元々入るための試験は行ったが肝心の初日に熱を出したことで1週間入園が遅れた。
これについては本当に申し訳ないと思っている。そして翌日、再び来ると今回は父親は来なかった。自分を案内している女が不思議そうな目で見ていたが気にしないでいた。そして25人の子供がいる部屋に案内された。
「みんな紹介するわね、今日からこのさくら組に入る幸君よ」
「高倉 幸です、よろしくお願いします」
そして一番奥の右側にある席に座る。
「あなた幸っていうのね!私ミナ!これからよろしく!」
「よろしく……」
(元気な
そう思いつつ答える幸。
そして自分を案内した女が皆に向かって言った。
「それじゃあ今日はお絵描きをしましょう。自分の好きな動物を書いてください」「はーい」
全員が書き始める中幸はまだ迷っていた。
(動物……動物か……)
幸が今まで見た動物と言えば馬や牛、豚、魚といったごく少数。
(強いて言うなら馬か?)
そして書き終わると松本先生と呼ばれていた女が絵を回収し一か所に置いた後、今度は絵を当てるゲーム?とやらをし始めた。正直言ってこれにはすごく疲れた、書くものがほとんど未知であるためほぼほぼ外れる。
そしてそのようなことを何度かやった後、外で遊ぶ事となった。ドッジボール?なるものをやることになったが何をすればいいのかよくわからない。
幸は渡された大きい球を全力で投げる、すると球は地面に当たると同時に上に跳ね返り一人が球を受け止める。球は幸に向かって投げられ幸の体に当たる。
幸は棒立ちだったが先程ミナと名乗った女子が進言する。
「あなたアウトよ、外野に行かないと」
「え?ああ……」
とりあえず言われた位置に着いたが幸は頭の中では別のことを考えていた。
(先ほどから謎の気配を感じる……一体なんだ?)
先ほど当てられたボールも気配に集中するあまりボールに当たってしまったのだ。
そして帰り道、幸は衝撃的なものを目にする。
(赤桜……?)
何と道端に刀が捨てられていたのだ、そして刀には赤桜と彫られていた。
一瞬手を伸ばしそうになったがすぐに手を抑える。
(あぶねえあぶねえ、危うく前と同じになるところだった)
実は幸は転生して一つの誓いを立てている。それは今度こそは人殺しはしないという誓い。元々悪人を罰する為に刀を手に取った幸、だが気づけば自分は殺人衝動に支配されやがて処刑された。
そして、そんな平和の裏で不穏な影が一つ……
◆◇◆◇◆
「計画は順調か?」
「はい、ただ一つ問題が」
「なんだ?」
「その……幻魔蜘蛛様が外で暴れさせなければ仕事をしないと謎の理屈で仕事を放棄しておりまして……」
「まったく……性格は横暴なのに力だけはあるから厄介なんだよなあ、あいつ」
「仕方がない、仕事の褒美で暴れさせてやると言っとけ」
「分かりました」
「それじゃあ俺は異道具の回収に行ってくる」
「は!承知しました」
(さてと、今日は回収出来るかな……赤桜)
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