江戸の辻斬り、異能力現代社会に転生する

古川一郎

少年編

第1話 打ち首転生

江戸時代、一人の辻斬りが江戸中を騒がせていた。

「まだ見つからんのか!」

「すみません!」

辻斬りに切られた者は必ず首を切られていることから辻斬りは首切丸くびきりまると呼ばれていた。


そしてどんなものにも終わりはある。それは突然首切丸にも訪れた。首切丸は捕らえられ、打ち首の刑に処された。

「言い残す事は?」

「そうだなぁ」

その問いに首切丸はこう答えた。

「出来ればもっと、強い奴らとやりたかったなぁ」


次の瞬間刃が首切丸の首に振り下ろされ、そうして首切丸は死んだ……はずだった。次の瞬間、途切れたと思っていた首切丸の意識は再び蘇った。

(生きてる……?俺は確か首を切られたはず……って眩しっ)

目を開けたくてもまぶしすぎて開けられず、首切丸は状況把握ができずにいた。


(また……意識が)

数分後強烈な睡魔に襲われ再び首切丸の意識は途切れる。

(は!危ない危ない寝てしまっていたか……って今回は少し開けられるようになってるぞ)


ほとんど見えないが首切丸は先程よりも少しだけ目が開けられる様になる。そのようなことを繰り返して三週間後。首切丸は完全に両目を開けられるようになっていた。(これでようやく状況把握ができる)


喜びも束の間、首切丸の目に入ってきたのは異様な光景だった。こちらを覗き込む巨人のように大きい男と女。自分の周りを囲んでいる謎の柵。床は綿のように柔らかく目に映るものすべてが巨大だった。


てっきり巨人の家にでもいるのかと思った首切丸だったがすぐにそれが間違いだったと気付く。しゃべろうとしてもうまく声が出せないのだ。


うーあーといったうめき声のような声しか出ず首切丸は酷く困惑した。そこで首切丸は一つの可能性に気づいた、(俺赤ん坊になったんじゃないか?)。


首切丸は特に病や障害のようなものは持っていなかった。それから五年後、首切丸は様々な情報を得た。まず首切り丸は名を授かった、高倉 幸たかくら こう


幸せになってほしいということからそう名付けられた。本題に戻ろう、まず幸は未来の日本にいた。これだけでも十分驚きだが幸がいたのは異能という妖術のようなものが存在した日本だった。


最初は驚いた幸だったがやがて順応していった。そして本日、幸は幼稚園という謎の場所に行くことになっている。幸は少し警戒していた。そして護身用に包丁を持っていこうとしたが母親にバレかけ断念した。


そして車という動く奇妙な形の箱に乗りいざ出発。(俺は一体これからどうなってしまうんだろうか……)そのようないらん心配をしながら向かうのだった。

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