№111

女装Vtuberは（元）友人と喧嘩を売る。そして、炎上する／猫手犬丸。

……冒頭から、妙にリアルな無職期間描写に笑う。独身男性あるあるにも。さて、たまにYouTubeに出てくる切り抜きぐらいしか知らないので、

「Vtuberって、炎上とか男関係のスキャンダル出たらオシマイなんだっけ」

　ぐらいの知識しかない。あの〝ユニコーン〟ってパワーワード作ったの誰でしょうね？　真面目に初出知りたい。才能あるよアレ考えた人。

　ともかくこの主人公は燃やす。しかも炎が非常に魅力的。人に言われた通りに、イヤイヤながらも炎上してるのなら、タダのいじめ話だ。

　しかし、この主人公は『これってやったらヤバイよな！』って事が頭に浮かんだら、何故か少し、勢いよくやってしまうタイプではなかろうか。誰しもあるよね、そういうスリルジャンキーな部分って。……ない？

　炎上していくのだが、「今自分で自分の背中ドーンて押したろ？　今むしろノッテルだろ？」って炎上ムーヴがオモシロイ。なんか平穏が一番みたいなことも時々いうのだが、このギャップがいいです。

　けしかけ役のキャラから「今だ、やれ」って指示が飛んでも、すごい良い動きする。２塁盗塁を指示されて、ホームベースまで帰っきちゃうような勢い。スッと追いつけるよ。ぜひぜひ。

№112

日本が危機に？第二次日露戦争／杏

……誰もが起こってほしくないと思うであろうシナリオの作品。でも今、全く興味がない人はいないだろう。

妙に淡々と書いてあるな、と思って、別作品のファンタジーと比べると全然文体が違う。工夫か使い分けか、自然とそうなったのか分からない。しかしそれなりの意気込みで書いてるのがわかる。

　この書き方は、明らかに功を奏している。著者自身の政治的、時事的信念を覆い隠すことに成功している。そこで意見が割れると、かなり読者離れると思うから。やれあの国憎しの感情も、あの政治家憎しの感情も、見えない。少なくとも直接には読み取れない。これは稀有なことだと思う。計算ずくなら、すごいことだと思う。

まあ代わりにアツイキャラが祖国のために怒りに震えたり、とかもない。

で、実際の戦況がこういう展開になるかな……？　というのは読者によって見解が分かれてしまうだろう。それはそれとして目を通してみるべきと思う。

　俺はというと、電気料金やスーパーや自販機の値札みて

『もう立派に戦時だろ。泣いちゃおうかな』と思っている。

№113

【拡張現実デスゲーム】Break Brain／翡翠

……すっげえちゃんとできている、ここまで完璧なんじゃないか。

　と思った。

　デスゲーム系の導入として

１．そんなヤバイものとは知らずに、足を踏み入れる

２．ヤバいヤツが出てきてヤバイし、最悪死ぬって事に気づく

　みたいに、どうしてもストーリーが進行していくと思う。はじめっからデスゲームと分かってて突っ込んでいく熱血主人公いるかな……それもうデスゲームの怖さがないよね。

　で、ここの描写がＳＦ的にすごーくちゃんとしている。丁寧且つ自然。まだ始まったばかりではあるんだけども、面白くなる気配がビリビリする。

しかもこれ、公的なツールの一部を基礎から無理矢理書き換えさせられて巻き込まれるらしいのだ。

マイナンバーカードが、抽選でいきなりデスゲーム強制参加証になるようなものだぞ⁉　もう黒幕がヤバくてデカいのが伝わってくる。さらにボーイミーツガール。でも、デスゲームだから、ここからツライ展開もあるのかな？　だけど『ばたばたキャラが死ぬだけでつまらない』ってことは、絶対ないと思う。まだ序盤。追いついて損なし。

№114

勇者一行から追放された二刀流使い～仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い！～新たな仲間と共に魔王を討伐ス／あーるろくろくろく

……正直に、最初の印象を言おう。

「うーんすごいテンプレなタイトルだし俺にあうかなぁ？」だった。ところが実際に中身を見てみたらすげえ面白い。あのー、まず現世での死に方がユニークで、これはただの追放ものじゃないんじゃないか、と感じた。やっぱりその通りで、一応転生追放モノの序盤をなぞるが、そこからが違う。

バレっぽくてこれ以上言及したくないのだが、自力でいくのだ。なるほど、もう遅い、はそういう意味か。この主人公、実力はあるのだが、それに甘えない。チャンスはあっても、ガッつかない。汚いことを言うようだが、転生してかなり戦闘能力あるのに自家発電する主人公ってすごく立派じゃないか？　あのー、ちょっとその辺のクエストこなせば娼館の一晩分の金はどうにかなるんじゃないか？　

俺みたいな心弱い奴ならそうしちゃうかもだぞ。

　そこの優先順位を間違わないので、ストーリーに芯が通っててすごいシンクロできて、かっこよく見える。キツイ時、仕事辞めたくなる時、彼の物語は勇気をくれると思う。あ、でもこの主人公も生前リアルはニートか。でも失敗したことある人に刺さったりね。そういう感動ないとは言えないよね。

№115

屍と君と深紅の丘／常久

……ちきしょう、急にドンと落とされてしまった。イイ感じにわき腹を刺してくる二話構成短編。いいよねー。イイしか感想、無いんだけど。

だって自己満で書いてるって紹介文にあるし。イイんだからいいじゃん。それに人を選ぶほうでもなくて、誰が読んでも良いと感じる作品だとおもう。だからいいじゃん。みんなハッピー。

　強いて僕の好みを追記する。

　学生さんって書いてあるけど夜間大学や放送大学で学び直し中の学生で四十や五十かもしれない。関係ない。これ書けるのなら先輩に教えを乞う必要ないと思った。そりゃ歳食えば社会経験は増すから、そこの描写はリアルになるかもしれないけれど、物語の善し悪しに本質的に関係ない。所詮、誰かに教えてもらえば手直しできるディテイルです。誰かに頼めば手伝ってくれますよ。つまりそれが取材ってやつですよね。書きたいもの書いてて、人からわざわざ教唆うけることないと思います。

それだけじゃ済まないのが人間むずかしいけど。

先週アップされた短編二つなので難しいのですがこのまま好きなもの追及してほしいと思います。うん、いいもの読んだ。

№116

にとらぶっ♡／南　名刺

……お。勤め人が主人公って、逆になんか新鮮に感じますね。この企画では、あまりなかったので。ツイッターのほうでご心配されてたようですが、私はこの人称での描写、共感できます。しかし、社長がやばい会社ですね。

　いやー、しかしいやー、わかります。

　睡眠時間ってのはリーマンにとって大事です。大事（だいじ）だし、大事（おおごと）です。人生左右します。

足りてないと、パフォーマンスが落ちるんです。落ちると進まないし、何より仕事が楽しくないんです。

しかも残業や持ち帰りで余計プライベートも趣味も削られて、２４時間まるっと、ぜーんぶ楽しくなくなるんですよね。休日も溜まってる仕事思い出すだけで憂鬱になれます。人生まるごと、楽しめなくなるんです。

なので安眠妨害にはこの主人公ぐらい必死に対応します。普通です。冗談抜きで。共感出来ます。続稿にガチ期待。オフィス劇にも期待。

№117

バルモニク／愛崎アリサ

……あっ。この企画の感想文を通読して「面白かった」と仰られた稀有な方ですね。その独特な感性を失わずに強く生きて欲しい。そう切に願います。変人と波長が合って可哀そうに。いやでも感想文であれ、自分の文章が喜ばれるというのは嬉しいものです。

　さてなんと表現すればいいんでしょうか。なんかアリスインワンダーランド（ただしアリスの意思は一切考慮されない）みたいな怒濤の展開で拉致られます。

　で、宇宙にいきます。ちょっと成層圏へ行こうか、ぐらいの大富豪のしょぼい道楽では済まされません。もう別星系まで拉致られます。なんかもうここまで来たら主人公も受け入れざるを得ないのか、いろいろ好奇心出し始めます。

世界設定が緻密です。もうここまで文明発達してたらゴリゴリの超文明づくしと思わせておいて、キッチリ理由があってファンタジーします。

いや実際、序盤アタマん中でずっと、某暗黒卿のテーマ流れちゃってですね、宇宙戦争始まっちゃうかとおもっちゃった。ちょっと女性向けなお姫様願望もあるのかな。まあ男の子だって勇者とか戦隊とかなりたいですからね。変身願望ね、誰しも一生ついて回るんですかね。つまりボテンシャルのあるジャンル？

№118

異世界のトイレを改善します／しいず

……うん、そうだよね。なんか異世界でパーティが次の街にいったりするけど、数日間かけたりしてますよね。トイレ、どうしてんだろ。生活に魔法が浸透していれば、なんとかできそうだけれども。でも拭けないし。

　で、実は主人公は現実で上下水道関係にお勤めだった！　とかプロ無農薬栽培農家だった！　で知識無双するのかな、とちょっと想像したんですよ。でも全然ちがうんです。むしろ普通の人です。ひょっとしたら著者様には、ある程度知識があるのかもしれません。小出しにしてキャラに考えさせる描写して、ストーリーを引いているのだとしたら、上手いですね。読んでてスゴイ楽しい。で、トイレつくるだけではなく本筋の冒険もキッチリあります。そちらの伏線ぽいのもあります。面白くなりそうです。

　しかし実際、魔法がなければどうしてるんでしょうね？　その辺で済ますにせよ、繊維の細いやわらかい紙なんて高級品な上にかさばるでしょうし。真水は貴重でしょう。砂漠じゃ水の代わりに砂でイケるとか、嘘かホントか知らない話聞きましたけど。痛そう。

№119

天道虫を抱いた男／島流しにされた男爵イモ

……さあて。やられましたよ僕は。取り憑かれるとね、人間こうなりますよね。こうなりたくないけど、こうなりたいんですよね。憑かれるほどにナニカに撃ち抜かれたい。荒れようが何だろうが、それを追う事にしか生に意味を感じられないほどに憑かれてみたい。そういう人物の心象を文章に顕現させられておられるという点で、もう読むべきだと思います。これ、僕がネタバレしてもバレにならないです。しませんけどね？　タネがばれていても読まないと、味わえません。読んだらわかります。他のもイイです。

https://kakuyomu.jp/works/16817330657477085255

エッセイも良い。

https://kakuyomu.jp/works/16817330655997581050

お？　珍しくやたら推してんな、俺。

№120

バレット・アテンション／@kokuren00001

……なにか違和感を感じて確認したら、アカウント作成自体がこれ読んだ数日前なんですね。それでちょっと、まだ１話しかないので感想もなかなか軽率にいえないです。ほぼ会話文ないながらの淡々としたセルフツッコミが、なんかいい味だと思います。

設定的に最低１３話ぐらいは続くのかな？　ちょっとこの場合、ここを確認してくれると想定すると、オレどんな事を書けばいいんだろ。投稿サイトに何を求めてるかなんてわからないし。

でもこのタイトルの企画に作品放り込んだってことは読まれたいんだよね、きっと。

ひとまず読まれなくても、まずは気にしないし焦らない！　

のが良いと思います。まあ気になっちゃうんだけど、焦って打つ手はずっとはうまく回らないのかな～と僕は思う。

20230601追記。