第11話
二つのライトが、橋の中央でついに重なった。
光の中にくっきりと浮かび上がる3つの影。
私は身体を起こしてハンドルを握った。
シフトレバーへ手をかける。
身体中の神経が張りつめて、今にも弾けそうだった。
拳銃を取り出し右手に持ち、私は三つ数えてアクセルを踏み込んだ。
マスタングのエンジン音が、周囲の静寂を引き裂いた。
ライトの一方が消え、
「伏せろっ!」と、怒鳴る声がした。
私は点いたままのライトへ突っ込んだ。
ヘッドライトの中で目を覆って立ちすくむ男の姿が視界に飛び込んできた。
空いている手に消音器つきの拳銃を握っている。
危ないところだった。
男は正面から迫るマスタングへ遮二無二ぶっ放す。
一発の銃弾がフロントガラスを突き破った。
ひび割れたガラスを銃の台尻で叩き崩すと、私は男へ二発撃った。
一発が男に命中し、もう一発はライトを撃ち砕いた。
よろけた男をマスタングがはね飛ばし、次の瞬間、水面附近で盛大な水しぶきが上がった。
私はハンドルを切って車を急停止させ、車体で橋の中央を塞いだ。
タイヤが悲鳴を上げる。
ブリュエット氏とジェシィは車の陰になった。
「二人とも、早く乗って!」
バニヤー達はもう動き出している。
向こうの車のヘッドライトの中へ現れたのは五人だった。
連中の銃口が火を噴き、コンクリートを弾丸が抉り、火花が散った。
撃ち返そうにも、顔が上げられない。
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