題名を見て有象無象の短編を予想して
侮ってはならない!と、心底思わされる
作品である。
作者ならではの端的で美しい確りとした
文章で綴られる朋友の会話と、文明開化の
当時の空気には 純然たる文学掌編 と
堂々と言えよう。
そして、ラストの驚愕。
その落し所ですら端的に語られる、
幽霊に憑かれた男の、想像すら出来ない
様子。
この ラスト に全てを持って行かれる
迄、否このラストの描写ですら端的な
筆致は崩れない。だからこその驚きと
見事な収話。
短い話を短期間に書き上げるというのは
とても難しいものがあるが、
大変勉強にもなる掌編。