第3話 冒険者。その名は『カイト』
リーリャの町。
やっぱ大陸の中枢部なだけあって、かなり栄えているな~。
「すみません、冒険者組合ってどこにあるか分かります??」
俺は金髪の若者に声をかけた。
「ん?お前も冒険者組合に行くのか??実は俺も今向かってるところだ。あそこに時計の着いた塔が見えるだろ??あれが冒険者組合だ。」
この人も冒険者組合に向かっていたのか。
「教えて下さりありがとうございます!」
「いいって、いいって。あ!だったらさ、組合まで一緒に行こうぜ。」
おお。それは心強い。
「ぜひお願いします!」
「俺はキリヤ。タメでいいよ。」
「ありがとう。俺の名前は…」
そういえば、この世界でなんで名乗るか決めてなかった。無難に本名でよいのか…?
「トコハ カイトだ。」
「トコハ?、カイト??お前、名前が2つあるのか??」
え。もしかしてこの世界には苗字というのがないのだろうか。
「あぁ~名前が2つある訳じゃないんだけど…、じゃあ、カイトって呼んでよ。」
「応!よろしくな!カイト!!」
こうして俺はキリヤと共に組合へ向かった。
道中、俺たちは色々な話をした。多くはお互いの話。でも、俺がこの世界の常識を知らなすぎて、話が噛み合わないことが多々あった。それでもキリヤは優しく話を聞いてくれた。
「着いたぜ。ここが冒険者組合だ。」
目の前に聳え立つ時計塔。その1階が冒険者組合だ。キリヤによると、2階には、勇者協会、それ以降の階は魔法学校となっているらしい。
中に入ると、沢山の人で溢れかえっていた。
これ、全部冒険者志望の人かよ…。
そして、俺に受付の番がまわってきた。
「まずは、あなたの名前を教えて下さい。」
「カイトです。」
「では、貴方の得意とする戦術は?」
戦術…。何もかも破壊することが出来るなんで言う訳にもいかないし…。よし、決めた。
「パワーには自信があるので、目の前に現れた魔物はとりあえず潰す、ですね。」
これでいいだろ!!うん!!!我ながら100点!受付の人が鼻で笑った気がするけど!!!
「す…素晴らしい……戦術…?、ですね…。」
あ~、辛。
「では、貴方を冒険者として認めます。あちらの者から、説明を受けてください。」
え…?採用で…いいんですか…??
軽く終わってしまったが、本当にいいのだろうか…。
まぁ、とりあえず説明を聞きに行くか。
少しして、30人ほどの冒険者として認めらた人々が集まると、説明が始まった。
「冒険者は、この大陸のあらゆる場所にある掲示板に記さている依頼を受けることが出来る。依頼によって報酬は様々だ。なお、他の冒険者と受けた依頼が被ってしまった場合は、そちらの判断に委ねることになっている。仲良く分け合うもよし、醜く奪い合うもよしだ。以上。」
短。説明が短。
「なにか質問があるやつはいるか??」
「はーい!!」
真っ先に手を挙げたのは…見たことがある奴…キリヤだった。あいつも冒険者として認められたんだな。いや、逆に不採用ってあるのか??
「冒険者と勇者の違いって何ですか??」
おお。それは俺も気になってたことだ。
「ああ~、そこの違いはな、名前だ。」
え??は???
冒険者と勇者の違いが名前??
「正直、冒険者も勇者も持つ権限や、職業としての役割はほぼ同じだ。後は、自分がなんて名乗りたいかだな。だが、勇者として登録するのには少しばかりの金が必要でな。無料でなれる冒険者の方が人気だ。」
へ~…。なんか、拍子抜けっていうかなんていうか…、俺達の夢がどんどん壊されていくかのような感覚だ。
「では、新人冒険者達よ。行け。何事も楽しむことがいちばん大切だってことは忘れるなよ。」
若き冒険者達の気合いに満ちた歓声が響き渡る。
ここから俺の冒険者ライフが始まるんだ。
説明も終わり、組合の外に出ると、なにやら人だかりが出来ている。掲示板だ。
どれどれ~、俺に受けれそうなのは…。
<<村を荒らす魔物を倒して欲しい …報酬50000T>>
これにしよう。俺がそう決めたその時。
「お前もこの依頼を受けるのか?俺も受けようとしてたとこだ。」
聞き覚えのある声。キリヤだ。
「お、キリヤ。」
「よ、カイト。さっきぶりだな。なぁ、お前が良かったらさ、この依頼、一緒に受けないか??もちろん報酬は半分こで。」
「いいね。キリヤがいるなら心強いよ。」
「そうと決まれば…って俺達なんも武器買ってないよな、そこの武器屋で揃えてこうぜ。」
俺達は武器屋で武器と防具を1式揃え、依頼のあった村へ向かう。
この冒険者、訳あって『破壊神』やってます。 強炭酸水 @sodasui47
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