負荷を上げる
「ご苦労様。頑張ったね」
落札者が、
落札者は、唐突に
「何故そんなことをするんですか!?」
「傷が浅いから、放っておいても平気だけど、痛みが続くのは可哀想だから、回復薬をかけているんだ」
「出過ぎた真似をして、ごめんなさい」
取り上げた瓶を、落札者に返す。
落札者は瓶を受け取った後、顎に手を当て考え込む。
「……なるほど。
落札者がぶつぶつと独り言を呟く。そして、納得したように、一人でウンウンと頷く。
落札者は、晴れた表情で
「君を効率的に成長させるには、より強いモンスターが生息しているところへ行くべきだ。
「砂漠あたりまでなら、なんとか耐えられる」
「モンスターの湧きが悪いから、効率が悪い。もう少し頑張れるよね?」
「氷結の森……の
「負荷が高いほど成長しやすいんだけど。森の中はキツイ?」
「多分無理」
「死ぬ?」
「と思う……」
「限界まで負荷を掛けるほど成長が早い。頑張れるよね?」
「……頑張ってみる」
「決定だ。今から向かうと、到着は夕方頃か……夜が更けた後の方が、強力なモンスターが出現する。どこで時間を潰そうかな」
二人のやり取りの中で出てきた砂漠と、氷結の森。どちらも初めて聞く場所。オークション会場から出た後も、初めて見る景色が続いていた。私は改めて、遠い場所に連れて来られたのだと認識する。
ぎゅるるるぅ!
私の腹が、空気を読まず大きな音を鳴らす。
「もっと負荷を高めろという進言か。確かに、夜が更けるほどにモンスターは強くなる。俺を立てるため、生理的な音を使って伝えるとは、素晴らしい気遣いだな。腹が減っては何とやらと言うし、一旦町に戻って、夕食をとってから向かうとしようか」
ただ、
買われるというのは、こういうことなのだろうと、納得している。人間であろうと、お金さえ払えばまた買える。消耗品なのだから、壊れたらまた買えば良い。そう考えるようになるのは、自然な流れだと思う。
むしろ、高いお金を払って購入したからこそ、壊れるまで使い
(何人も居るなら、一人くらい減っても何も思わないのかな……嫌な世界に変わっちゃったな……)
向上心ゼロ、最弱で鬼畜なパーティプレイ はゆ @33hayuu
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