『孤独病』という病気と、それを内包する社会のディテールがよく練られており、作品のリアリティラインに説得力があると感じられた。このあたりはハードボイルド小説的で、筆者がそういうものを書き慣れていると感じる。
また、バトル描写におけるどこか余裕のあるキャラクターたちの会話劇も軽妙で、独特の味わいがある。どの陣営もおとなしめな印象だったので、次はユーモア方面にはっちゃけてもいいかもしれない。
主に地の文で、ライトノベル的な部分とハードボイルド小説的な部分が混在しているので、次回作はどちらかにより寄せたものが読みたいなと思った。
主人公が最後一人で去ってしまうのだが、そこに一抹の寂しさがあり、バイクのテールランプの光が叙情的で余韻を残すいい終わり方だった。