深夜の夜道

黒姫百合

第1話 深夜の夜道

「ねぇー、最近深夜に散歩してた時に起きたことなんだけどさー」

 少女Aがそう言いながら話し始めた。

「っていうかー深夜に散歩ってやばくなーい」

 少女Bが少女Aを茶化す。

「深夜の夜道の散歩って静かで結構心が癒されるんだよ」

 少女Aは深夜の散歩がいかに素晴らしいか語る。

 少女Aと私は友達だった。

 今日も少女Aは楽しそうに学校に通っている。

 それを見れるだけでも私は幸せだった。

「なんか誰かに見られてるような気がするんだよねー」

「深夜に散歩している女子高生がいたら普通見ちゃうだろ」

「そうだよ。補導される前に辞めた方が良いと思うよ」

 深夜の夜道を散歩していると少女Aは誰かの視線を感じるらしい。

 それは気づかなかった。

 これからは私も気を付けれ少女Aの周りを見てみよう。

 少女Bは呆れながらツッコミを入れ、少女Cは少女Aを心配する。

「でもいないんでしょ」

「そうー。だから私の気のせいかなって思うんだけど、やっぱり見られている気がするんだよね」

「自意識過剰じゃない?」

 少女Bの質問に首を捻りながら少女Aは答える。

 少女Bの言うように私もそれは自意識過剰だと思う。

 だって少女Aが散歩している深夜の夜道に少女Aを見ている人は誰もいないのだから。

「やっぱり高校生一人で深夜の夜道の散歩は危険だよ~」

「もう〇〇は心配性なんだから」

 少女Cが少女Aの身の安全を心配する。

 少女Cは昔から心優しい女の子だ。

 少女Aが少女Cの名前を言ったのだが、なぜかそこだけ靄がかかったかのように聞こえなかった。

「これからはちゃんと防犯ブザーを持って散歩するから平気平気」

 そう少女Aは言ってこの話はそこで終わった。

 授業を告げるチャイムが鳴り、少女たち三人は自分の席へと戻る。

 私も少女Aの横に陣取る。

 今日も変わり映えがない授業が始める。

 少女Aは退屈そうに授業を受けている。

 少女Aは昔から勉強が嫌いな女の子だった。

「……私も頑張らないとな。〇〇には幸せになってほしいから」

 私も少女Aを守るために意気込む。

 その時、私は少女Aの名前を思い出すこともできなかった、

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