第15話
___それでは次に、この方にお話いただきましょう。
幅広く活動を続けている、オカルトライターの黒里麻言さんです。
「…はい。ご紹介にあずかりました黒里麻言です、よろしくお願いします。…まぁ、当たり前なんですけど、職業柄、不思議な話とかいわゆる怪談とかを聞く機会が多くて。これは、つい先日送られてきた、あるボイスレコーダーの話なんです」
第15話『くる』
___ある学校の新聞部が、夏の特別号の題材として、こっくりさんをすることになりました。そう。昔流行した降霊術の一つの。
それに目をつけた部員の一人が提案した内容は、夏休みに部室を開けてもらって、そこで行ったこっくりさんの記録を記事にするというもので、部員全員が賛同して行われたそうです。
実際に行う人の他に何人か外野がいる状況で、場は比較的和やかに進みました。
結果として、そのこっくりさんは「成功」。
彼彼女達が質問するごとに、「動いた!」と歓声が上がります。
「こっくりさんこっくりさん。明日の天気はなんですか?」
「はれ」
「こっくりさんこっくりさん。明日の数学の授業って何やるんですか?」
「てすと」
「こっくりさんこっくりさん。田中君の好きな人は誰ですか?」
「あやみ」
「えー!やだー!」
「こっくりさんこっくりさん。こっくりさんの好きな人は誰ですか?」
「くる」
「くる?」
「誰それ」
「くる」
「え?みちちゃんどうし「くるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくる」
「___以上が、先日送られてきたボイスレコーダーの内容になります。音声はここで終わっていて、このボイスレコーダーの送り主が分からない今、これが悪戯なのか本物なのか、この後どうなったかを確かめる術はありません。
果たしてそこには何がくるのか………いえ、来たのでしょうか」
「…僕の話は以上になります。それでは引き続き、百物語をお楽しみください」
地方ラジオの特番『恐怖!100人が語る真夏の百物語特集‼︎』より抜粋。
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