29 一話完結型の連載が続きものになったら最終回へ向かっているあるある




 事の発端は、とある休日。



「あの、異世界課の方ですよね」

「はい? そうですけど……」


 ちょっと買い物しようと財布と携帯を持って家を出たところで、見知らぬ人に声をかけられた。けど、まぁ異世界課なんて知ってるの同じ会社の人だけだろうしな。ここ社宅だし。


「よかった。ちょっとトラブルがあって……今から一緒に来てもらうことはできますか?」

「えーっとはい、大丈夫ですよ」


 トラブルってなんだろ? 転生されなかったとか、転移場所違いとかかな。そうなると僕じゃ対応できないんだけど、チーフか課長に連絡いれる前に一回みておかなきゃね。


 その人、管理部のラジルさんというらしい。一緒に駅を通って会社まで……


「あれ、会社?」

「見ていただきたいのは案内所のほうにあって」

「あっそうなんですか」


 会社を通りすぎて隣のビル、人類総合案内所へ。

 ちらりと横目でみた一階の総合受付は今日も急がしそうに新たな輪廻解脱者を受け入れている。懐かしいなぁ、僕もここでああやって案内を受けたっけ。まあ僕は正確には輪廻の輪から抜けてないんだけどね。転職枠だし。


「こっちです」


 ラジルさんは企業用の受付を済ませ、一般の人たちとは別のエリアへと入っていく。ここは前にでっかい甲虫のニーロさんと一緒に来たところ。ここの部屋に転生転移者の魂を呼んで、「君死んじゃったんだけどさぁ」っていう物語冒頭のお約束神様ムーブをかますんだ。

 そんな小部屋をいくつか通りすぎた突き当たり。


「ここは?」

ゲートです」


 その部屋の中には扉がふたつ。

 駅、といっても地球みたいに電車が通ってる訳じゃなくてたくさんのどこ○もドアワープゲートが並んでる場所の、そのドアみたいな。


 ラジルさんはその片方のドアの横についているパネルをなにやらポチポチして、さっき受付でもらったカードをスキャンした。


「これでよし」


 そして。


「――――えっ」


 ドン、と背中を押された。

 僕はなす術もなくそのワープゲートに吸い込まれて、えっ、ちょ、ま、










 



「――――うっっそでしょ……」


 目を開けたら知らない場所にいました……。


 


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