【オシゴトNo.4】黒い棒 ヒロコ先生side

今日は職員作業で、陸上記録会の準備をしています。

5年生は、幅跳びの会場づくりで、くい打ちをしています。

若いとはいえ、私ももう34歳。こんな重い杭を3本も持てないわ。

とうふ先生も3本持ってるけど、1本ぐらい持ってもらえないかしら。


「とうふ先生、ずっしりしてますね」

「そうですね。なかなか腕にきますね」


違うの!腕がつらいことは、わかってるの!

見てよーこのか細い腕を!


トン、カン、トン、カン、


そんなこんなでしょうもない会話をしてたら、もう砂場まで運べてしまったわ。


トン、カン、トン、カン、


これ、杭を支えている手がすっごく痛いの。

何か話をして紛らわせないと、しんどいわ。


「そういえば、とうふ先生はGW何をしてたんですか?」

「GWはねー。授業の準備と、YouTubeぐらいしかしてませんね。ヒロコ先生は?」


え、YouTube!もしかして、『文房具しか知らない世界』も見てるのかな?


「私も、同じような感じです。彼氏とかいたら、旅行とか行くんですけどね」


もちろんそれは、『文房具しか知らない世界』のMC『かめるん』の中の人がいいけど。

もし、とうふ先生が『文房具しか知らない世界』のファンなら、毎週金曜日夜7時の更新を逃さないはず。


「とうふ先生は、金曜日の夜って何をしてるんですか?」

「金曜日の夜は、・・・そうですね。いつもだったら、ラジオの公開生放送を聞きに行ってますよ。ほら、駅前のショッピングセンターの」

「あ、そうなんですね・・・」


あ、そっか。その時間はYouTubeじゃないのか。残念。


その後は、なぜか会話が進まずに黙々と作業が終わりました。


トン、カン、トン、カン、

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る