<正義>いうが易く語るに困難で定義が難しいこのことば。これを題材に書き描くその世界はどのようなものか。楽しみである。
ひとつ言えることは、<正義>はひとつではないということ。
主義主張、集団、民族、信教、宗教、所属する集団組織社会、運営、国、時代という世の時の流れ・・・そんな中でのさまざまな立場、所属する集団組織が掲げ、主張する<正義>。
あなたはこの物語の中で語られる<正義>に何を観る?
国という組織団体、集合体にあっては、自主独立し主権を維持し、その領土国民を守護し、未来永劫存続しつづけることが正義。
最小単位の人にあっては、その寿命を全うし、子を為し子孫を遺し血脈・遺伝子の遺し、存続させていくことこそ生物としてのひとの正義。
世の中に存在するさまざまな<正義>どうしの衝突。
ある場合は、お互い緩やかに、互いに掲げる正義を認め合い、譲れるところは譲り、”〇〇だから”と寛容になり追及をせず、違いを認め妥協し暗黙の了解という形で互いの鉾を納め、対立しない形を執る。
ある場合は、鋭く対立し、互いに掲げる相手の<正義>を否定、拒絶し、国、宗教的主義主張立場を同じにするものと徒党を組み、組織化。互いに大掛かりな体制を組んで互いに<正義>を掲げて殺し合う。
異なる正義を掲げる者を殲滅し、戦いに勝ち、生き遺った者はその<正義>を勝ち誇り、より主張を強くする。
それが人類が歩んできた歴史を俯瞰して見た構図。
このことを踏まえた上で、この作品で描かれる世界の<正義>、筆者の思い描く<正義>をあなたはどう評価するだろうか。