#6 于珊 - 阿星と初対面

 養鶏農家が二本足の動物を食べないのと同じように、私は子どもの頃から出生と死亡に関わることが全て大嫌いだった。死亡は私にとって生計を立てている事業であり、広いウォークインクローゼットにブランドカバンをコレクションするための収入源なのだ。

 生まれてこなければ、死はない。私たちは財務予測を立てたことがあり、台湾がこのような低い出生率を続くと、于航の収入は毎年10%ずつ減少していきます。

 阿星に出会うまでに、私にとって生死はただの数字であり、それ以外の意味はなかった。

 母は落ち目の女優であったが、早くに亡くなってしまった。母の写真を見る度に、目が小さくて鼻が低い父の遺伝子をもらってなく美人の母に似て良かったと思った。

 母は父とは違い、天使のように見知らぬ人々の世話をしていた。日中は児童養護施設でボランティアをし、里親として生まれたばかりの孤児の世話もしていた。そして養子に引取ってくれる人が現れると、子どもたちを送り出していた。その度に彼女はずっと泣いていた。どうして私たちはこれらの子達を養子にしないのかと彼女に尋ねた時、彼女はいつも黙っていた。

 後になってわかった。父が外で作った子どもたちの世話を終えることすらできないので、うちみたいの家庭で育つよりも、本当に愛情のある家族を見つけた方が良いだろうと気付いた。小児希少難病へ投資するのを選んだ理由も、母が世話をした子どもたちは、聞いたことない病気にかかっていたから。夜中に突然理由もなく息を切らした子も、一歳になっても立つことができない子もいた。母のような里親になる能力がないが、父が稼いだお金の一部をこれらの子どもたちの世話をする専門の方を雇うことができる。

 マジシャンがパフォーマンスを終えたところ、万雷の拍手が場内に響きわたった。私は昨日準備したチートシートを見て、今日の募金目標である一億台湾ドルについて考えた。

「本日ご参加いただきありがとうございます。先ほどのマジックショーのように、本日の募金金額もマジックナンバーになればと思います!」予想通りに会場が爆笑した。

「最初のスライドショー及び事例集のように、于航小児希少難病基金は昨年、百十六人の子ども達が治療を受けるための支援をしました。医療の自費項目への補助に加えて、術後ケア期間を乗り越えるため術後ケアのチームの提供は于航がしています。将来の目標として、現在の短期支援事業を拡大することによって、希少難病の子どもを持ち親たちのため、手術後のみならず、いつでも専門のチームに預かることができたらと思います。本日の募金は、短期支援事業の施設建設及び医療従事者の給与に当てたれますので、皆様のご支援をお願いいたします。今は、スマホでテーブルのQRコードをスキャンすると寄付できます。募金金額は前のスクリーンに即時開示され、本人の意思により寄付者名前も表示されます。」

 私は神を信じていない人間だが、この時も目の前のスクリーンを見て密かに祈った。

 想像を超えるスピードで数字が動き始め、九千万になった時、肩の荷が下りて笑顔を見せた。その達成感が一時間前はまだ父の上場詐欺と闘っていたことを忘れさせてくれた。

 最終的に一億四千万台湾ドルが集まることができた。小茜は私に 三百万元以上を寄付する方のリストを渡した。大半の人は、税務署に気づかれたくないのか、または目立ちたくないのか、ほとんど名前を公開しないことを選択していたが、領収書を発行するため私が手に持っているリストは全ての寄付者の氏名を載っています。その後のパーティーで金主を一人ずつ見つけ、プライベートでお礼を言った。

 これらの人々は全て知り合いである、その中には私がずっと前からお願いしたセレブの友人たちもいる。募金金額が少ないと気まずいのではないかと心配していたためだ。

 これらの人々の中に、見知らぬ名前が一つあった――呉沛星ウーぺイシン医師。

 阿星は、私が大勢の人混みの中で彼を見つけることができないのをおそらく知っていたので、私に向かって来た。

「于会長、ありがとう。于航基金のおかげで、僕の娘は心臓手術をした後に術後ケア専門チームが世話してくれていたため、僕は自分の仕事に集中することができた」阿星が言った。

「ああ、あなたは事例集に出ていた保護者ですか?」と私は尋ねた。

「いいえ、僕は呉沛星と申します。私の娘は呉子恩と言います。于会長は娘の見舞いに病院にきてくれましたよ」

 おそらく阿星は私の眼差しから、私が彼の娘を覚えているふりをしていたことに気付いていた。実際に私が覚えていたのは彼の五百万の寄付金だけで彼の娘はまったく覚えていなかった。

 医者はこんなにお金を稼げるのか?実は、当時の私の頭にはこの質問しかなかった。

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