#4 于珊 - 葬祭業の大物の娘

 父が二十歳年下の女性芸能人と食事をしている写真を撮られたという事実に、私は耳を貸さなかった。

 この世界に真実の愛があるとすれば、エル〇スのバッグに詰め込まれなかったら、ある信義区の豪邸の大理石の床に埋め込まれる。

 幸いなことに、彼は花の間を飛ぶのに忙しいので、私が小児希少難病の基金を設立するため于航ユーハングループから十億元をもらい、さらに于航ベンチャーキャピタルを成立するため三十億元を取ったことについて、ただ眉をひそめ、すぐに署名してくれた。

 葬祭業(私たちは『生命事業』と自称している)の粗利はあなたの想像を絶する。なぜなら、人間は自分のやましさを軽減するために、故人への怠慢を豪華なお別れ会に変えるからだ。私たちは葬祭業界のハイブランドとして全ての価格は同業界の三倍だ。

「あなたにはその価値があるから」あるCMの決め台詞のように。

 アメリカでブランドマネジメントを学んだ。

 台湾に戻った後、父が経営した頃の泣き女を使うなど過去のお別れ会のやり方を結婚式のように変更した。家族の死亡により、半世紀にわたって会うことができない家族たちに、メモリアルムービー、家族写真パッケージ、カメラマンが最初から最後まで記録してくれることなどサービスを提供した。

 それだけでなく、お通夜の時に五つ星ホテルのSPAやカスタマイズ朝食を楽しむことができ、国内外の遺産の認証(probate)手続きのサポート、税務コンサルティング、さらには遺産分割協議書の起草までも手伝うことができるようにした。

 帰国した私は総経理になってから十年間に、于航は生前契約のワンストップサービスのNo.1ブランドになった。

 コピーキャットはどこにでもある。我々も当然競合他社がいる。皇勝ファンシェン生命事業は同じサービスを提供できると主張しているが、価格は我々の半額だ。

 心配していないかと聞かれたら、私はこう答える。エル〇スの価格は他のハイエンドブランドより数倍高く、一つのハンドメイドのカバンを入荷するには半年以上かかるかもしれないが、私と他のセレブな女性友人の陳列棚の半分を占めている。ブランドの価値を高めることができたら、価格優位性も構築することができた。

 しかし、父はそれに満足していなかった。

 彼はキャッシュフローを増やしたく全ての契約金を前もって手に入れるために生前契約の販売を開始した。彼のビジネス感覚及び通りや路地を行き来する営業マンたちに感心せざるを得なかった。彼の立派な生前契約業務を遂行するために、私はあっちこっちに土地を探し、地方自治体や周辺住民を相手にした。卵を投げられたり、誰かが後ろから怒鳴られスリッパを投げたり、尿をかけられたりするなど想像以上のことは全てを経験済みだ。

 この業界はあなたが思うほど明るくて華やかではない。昔、棺を支える人が足りなかったり、泣き女が風邪で泣けなかったり、お別れ会の司会者が前の仕事を終えていないため間に合わなかったりする場合、私はいつでも代わりに対応する。だから卵を投げられたり、尿をかけられたりすることような小さなことは全く気にならない。私が本当に困っていたのは、土地を購入するために銀行から融資を受けることだった。

 こういう納骨堂の地目は大体、納骨堂として合法的に使用されていない、あるいは一部のみ合法で、残りの99%は農地または林地だ。しかし、法律や規制は非常に厳しいため、この国の人々は野菜や果物よりも納骨堂への需要がはるかに高いことに気付いてくれなかった。皇勝と土地争奪戦をするために、闇金に手を出してしまった。土地があれば即購入し、ギリギリまでローンを組むことにした。

 父に、もうこれ以上オーバーブッキングできないことを伝えた。ブッキング数は既に納骨堂の定員数よりはるかに超えていた。

「医療が進歩しているので、皆が百歳以上生きられると信じなさい」と彼はこの一文しか言わなかった。

 これらの人達は二百歳まで生きても充分な納骨堂を作り出せないことをわかっているのに、皇勝が土地争奪戦に負けたら、不正使用を告発することをわかっているのに、建てた納骨堂が地方自治体に取り壊される可能性があることをわかっているのに、顧客や債権者に債務不履行になるのは時間の問題であることをわかっているのに、気分を良くするため、私の基金やベンチャーキャピタルに力を入れるしかできなかった。

 私はこの社会に貢献している。いつもそう自分に言い聞かせてきた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る