第11話村を創ろう

第11話 村を創ろう


「さて話がうまくいったね」


テンマは頷きながらにこにこと自分の拠点へと戻ってくると緑火に声をかけてから、自らのログハウスへと向かった。


今後のスケジュールを確認することにした。


今後のスケジュールとして考えるのは、この森を人が住める土地に変えるという事。この森は非常に危険であると同時に色々と発展性がある森でもある。


あらゆる国が魔境として認知しあらゆる国がこの土地の所有権を放置した、すなわち管理者のいない土地、逆にいえばこの場所に交流の場を生まれさせれば一つの起点になるだろうとテンマはそう考える。


「(とりあえず、ステラにはこの場所を開拓すれば各国に連絡は送るようにはお願いしてある、基本的にこの世界の政治形態や貴族という仕組みはよくわかってないし、これから学ぶ事になるだろうが、わかる相手に任せればいい)」



テンマはうんうんと頷きながら自身のプランを頭の中で構築していく、自分の望むプランを、まあここにいるまだ接触していない存在もなんとなくだが気に入ってもらえるだろうと客観的な考えをもって。



「んだー最近の悪魔は村創りなんてけったいな事すんだなあ」


村を作って二日目面白そうな口調で髪の毛ボサボサで酒瓶をもった白衣をまとった白髪の男が顔を赤くしながらケタケタ笑いながら近づいてきた。


「そうだねえ、なんだかんだ流れ着いて色々作りたくなってね」


「それで村作りか、おもしれえね、村人はどうすんの?」


「それはこれからかなー、この場所は色々と大変そうだしねえ」


「生半可な奴じゃすぐ死ぬわな」

男はケタケタ笑いながら酒を呷ると


「おまいさんの名は?最近ここらで目立ってるのは知ってたけど、俺はジョゼだな」


「ジョゼさんですか、僕はテンマ=アクタビと申します」


「ふーん、なんか人間くせえ悪魔だな、拍子抜けだ」


「いやいやそれを言うならあなたもでしょ」


テンマの微笑みにジョゼはにやにやわらう。


「ほーん、俺の種族がわかるのかい、いやいや鑑定しているようには思わなかったけどな」


「魔力の質が、人間らしくないんですよ、ほら色々克服した死者の質というか」


「あらあら、そこまで見破られちゃう、すごいねえ、御名答、酒好きの不死王とは俺のこと、何年不死してんだがわかんねえが、人間時代はそこそこの錬金術師だったよ、賢者の石をうっかり生成してその影響で不死になっちまったけど」


「うっかりで賢者の石作るってあらゆる意味で賢者じゃないですかー、やだあー」


「いやいやコツさえ掴めば誰でもできるよ、テンマ君、やだなあ」


「いやいやいやいや!!!そんな感じで賢者の石なんて作れるわけないだろうよ!!」


「あ、やあジョイナス君」


「いやいや!!テンマさん!!ジョイナス君じゃなくて!!この人もなんなんすか!!」


「いやただの酔っ払いじゃね?」


「いやいや!!!この森にそんなご近所よろしくふらふらする酔っ払いなんていないのよおお!!!」


ジョイナスのつっこみが森の中で響き渡る。


「んだ、最近の冒険者ってのはお笑いもできんのか、すげえな」


ジョゼはケラケラ笑いながらジョイナスに声をかける。


「いやいや賢者の石って現代技術じゃ2割くらいしか出来ない希少価値のたけえ錬成物だぞ、しかも効能的に古代の時代より劣化してるっつう話だし」


「マジ?そんなに技術劣化やべえの?なんかめんどくせえからほとぼりさめるまでだらだらしてたら4000年くらい経過してたからそんな事もあり得るかー」


「いや、マジであんた、何歳だよ、不老不死だったら高位の不死者だとおもうけども、敵意とか害意ないから思わず話してるけど」


「大丈夫だよ、ジョイナス君、ジョゼさんは多分そんな事しないタイプ」


「そうだなあ、旨い酒と旨いつまみと研究があればそれでいいし」


「マジ、テンマさんがいるから成り立ってるからね?この会話?多分いなかったら討伐対象よ?」


「大丈夫大丈夫、そんときは死なない程度に魂いじるから」


「こわっ!!やべえな!!」


「ジョイナス君もなれたねえ」


和気あいあいと会話が進む。


「それで、ジョイナス君が来てくれたということは?」


「ああ、各国の王への伝達と各国のギルドへの通達は完了したって事でいい、内容的には各国は表面上は協力体制という体ではあるが、国によってはなんらかの介入をしてくる可能性もあるだろうが、まあこの土地の所有権はないと建国時点でそれぞれの国が決めているからなあ」


「まあ元々この土地は神が降臨し世界のはじまりとされる土地だからな、逆に常人の民が不用意に立ち入れば神罰くだるくらいの土地だからな」


「なにそれ、初耳なんだけどこわっ」


「俺が人間だった時は割と有名だったぞ」


「やめてよ!!なんで俺が来るたびにそんな意味深な情報が開示されてくんだ!?厄ネタじゃねえか!!」


「まあ民に浸透されてないんだから、なんかはあるだろうなあ」


「マジなんなん!!」


「まあまあジョイナス君、紅茶淹れるからおちつきなよ」


「あざす」


ジョイナスはテンマから紅茶を受け取るとずずっと飲む。


「てか、あんた名前は?俺はジョイナス」


「ん?ああ、ジョゼだ、ジョゼ、一応錬金術師か、暇つぶしに研究してるし」


「ジョゼ?ああ!?あんた!!初代王の勇者の右腕!!「破滅のジョゼ」か!?」


「随分懐かしい話しってんな」


「おいおい、マジでなんだよ!!この森、悪魔がいるとおもえばいい人だし!!生きた死人がいると思えば勇者の仲間だし!!マジなんなんだよ!!」


「なかなか大暴言だなあ」


テンマののんびりした声にまたジョイナスは叫び声をあげる

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る