第12話 噂の3人

レンガード冒険者ギルド


「ねえねえ、最近目立ってるよね」


「そうよね」


ギルドに併設された酒場に革鎧を身にまとった2人の女戦士が頷きながら話す。


その噂の人物の一人は優しい笑みで丁寧な雰囲気を持つ魔法剣士と名高いテンマ=アクタビ、家名持ちのためもしかしたら貴族の隠し子とも言われている。ギルドに来た時点でC級としてスタート、そしてギルドマスターとも友人のように関わり、A級のジョイナスとも気軽に話す間柄、すでに実力はA級以上とも言われている。全属性の魔法を操り、多彩な武具も操る。そして穏やかな気質からすでに多くの冒険者とも交流を深めている。


そしてもう一人はボサボサ頭で常に主瓶を持つ男、ジョゼ、よれよれの白衣を着ながらも凄腕の錬金術師で、独自の技術も持っていると噂らしい。伝説の勇者の仲間の一人と名前が一緒な事もあり、注目されている。


2人は実力もさることから冒険者的な粗野さもなくどこか理知的な雰囲気をある事から、女性冒険者の人気も高い、男性冒険者からも嫉妬よりも尊敬のまなざしをもたれる事も多く、レンガード冒険者ギルドの質も上げる結果にもなっているようだ。



「いやマジで、なんなん、いやうちのギルド粗雑な奴がそこまでいないが、ここまで落ち着いた事なかったぞ?」


「話せばわかるよ、冒険者といっても皆誇りもって活動してるんだから」


「そりゃあ、テンマ君が人が出来てるからだよ」


ジョイナスの言葉にテンマはにこやかに開始、ジョゼが笑う。

その姿を見ながら女冒険者達は眩しそうに眼を閉じる。


「「(尊い)」」


なんだかんだこの三人は整った顔立ちで基本的に細いながらもきちんとした形の筋肉を有している。いわばモデル体型。本来ならば冒険者というよりもどこかの武芸者のような形なのだが、三人とパーティーを組んだ冒険者達は口をそろえて言う。


ジョイナスの実力はもちろん、テンマの力もジョゼの力も極めて異質で強力だと。


ジョイナスが正統派な王道と呼ばれる魔法と剣を扱うならば、テンマは万能型、魔法と剣とあらゆる能力で敵をねじ伏せる、そしてジョゼはトリッキーな戦術と自身の生み出した作成物で殲滅する。


正直な話この三人はランクに留まらない実力を兼ね備えてるといってもいい。理由としてはジョイナスはいまのとこA級で問題ないし昇級試験をさぼっているだけとの事であるし、テンマはまだギルドに所属して2か月程との事なのでもう少し依頼を重ねるというのが大事なのだろう。ジョゼに至っては暇つぶしという事でギルドにすらはいっていない。


基本的に冒険者のチームにいて所属している人間が納品等をすればいいわけだから、問題はないのだが、基本的に所属していた方が特典はあるのだが、ジョゼはそれすらも興味ないようで同行者という体でテンマ達と行動を共にしている。


ギルドマスターであるステラも首をかしげながらもジョゼの正体を知っているので、何か考えがあるのだろうと黙認している。


そんなこんなでジョイナスとテンマとジョゼは三人パーティーとして認知され、ジョイナスもなし崩し的にソロから脱却という認識となった。


後にこの三人はこの世界に波紋を広げる事になる。


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