第10話 レンガード冒険者ギルド

辺境都市レンガード、最高難易度のダンジョンと初心者でもいけるダンジョンもあり、農業も豊かで上にいる貴族達も良識のある人達で善政を敷いている。この国を治める王も民あっての王だという事を声高々にいう賢き良き王。


私はこの国が好きだ。あらゆる人種との共存を楽しみ、それぞれの違いを尊重し、皆が活き活きとしているこの国が。


エルフでありながらも人の国で過ごしたいという願いを持った変わり者の冒険者が私であったが、縁あってこの冒険者達の拠点の長をさせてもらっている。私の名はステラ=ミルファーナ、私の二つ名は「風の戦姫」


風に愛され精霊と共にあり、あらゆる戦で多くの同胞と異種族を護った女であるのだが、今の現状に対して非常に困惑している。



「はじめまして、僕はテンマ=アクタビ、悪い悪魔ではないよ、よろしく」


目の前の黒髪の男はにこにこと微笑みながら私に声をかけているが、派遣したジョイナスは白目をむいている。


危害は加えられてないようだから、まあ問題はないだろう。


「テンマさん、私はギルドマスターステラ=ミルファーナ」


落ち着いた言葉で彼に告げた。


「なるほど、冒険者になりたいと」


「そうだね、持ってきた素材は足りないかな?」


悠々自適にくつろぎながら目の前の男、テンマはにこにこと笑う。


「問題はないね」


問題はないどころか素材として最上級のものであるし、いずれも高ランクの冒険者がパーティーを組んでようやく手に入れられるものだ。


それをソロで手に入れるという実力があるというのは、下手すれば世界が動きだすレベルの災厄といっても過言ではない。


「ああ、大丈夫だよ、僕はこの世界を滅ぼそうなんて思っていない」


「!?」


心を読まれたかのような発言に心が揺れる。


「顔に出ているよ」


テンマと名乗った悪魔はくすくすと笑う。


いくつかの質問をしたあと、彼は脅威ではあるが問題はないと判断した。

彼の話は幾ばくかは秘密にしているものもあるようには感じられたが、きわめて人間的で文化的な悪魔だという事が知れた。


そして人間達に紛れて生活をしたいという特異な考えをもっているとも、悪魔でありながら思考が人間に近い、普通悪魔といえば、傲慢であり不遜であり、契約を求めるものだが、特殊な悪魔達である「七罪」と同じで人間に興味があるというか人間として生きたいという風にも見て取れた。


基本的な能力は今まで会ってきた悪魔よりも凶悪で最悪な強さを持っているようだが、それ以上に穏やかな資質があるとみてとれたので、色々と気になる点はあるが、受け入れる事にした。種族隠蔽はしてもらうとしてギルドマスター権限でC級とさせてもらうことにした。下のランクであれば目をつけいらぬ事をするものもあらわれるのを見越して。




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