第8話 A級冒険者

俺の名はジョイナス。帰らずの森が見下ろせるレンガードの街の冒険者ギルドのA級冒険者だ。レンガードの街は高難易度のダンジョンが二つあり、農業が豊かで、魔物のレベルも高く、高ランク冒険者達の良き拠点となっている。


そんななか一つの依頼が俺に入ってきた。帰らずの森に得体のしれない化け物がいるという話で、その正体を探ってほしいという話だ。


確かに俺は帰らずの森の奥地までいったことがあるし、生存率も高いだろう。依頼金も高いし、俺向けだなあと思ったんだが・・・。



「ありゃあ化け物だな」


自分の隠蔽スキルを使いながら目の前の変異体のゴブリンと話す、和装の黒髪の男を見ながら冷や汗をかく。


見た目は非常に優しい雰囲気を醸し出してはいるが、明らかに生物としての格が上だ。レベルも計測できない。


自分自身も常に戦い続け、自らを高め続けた。

プロとしてのソロ経験も誰よりも負けずS級まであと少しと呼ばれるほどの実力を身に着けた。


「だが、ありゃあだめだな」


自分の中の警鐘が鳴り響く。


剣を斬り結ぶ前に自分の首が胴体から切り離される。

そういう未来しか見えない。




「(だがどうする?おそらくここで動いたら)」


「おやお客さんかな?」


俺は瞬時に剣を振り上げ距離を取る


「反応はいいけど、別に敵対するわけじゃない、落ち着いてくれないか?

?」


「おいおい、一応俺の剣オリハルコンで出来てるんだけど、無傷って傷つくな」


「ああ、ある程度物質の組成は理解できるから、物質を同調させただけだよ」


「同質の物質に組み替えて衝撃を散らしたってことか?マジであんたナニモンだよ、魔人でもねえし魔物でもねえ」


目の前の黒髪の男はふむと頷き


「ああ、種族でいえば悪魔になるのかな?」


そう言われると同時に俺は警戒レベルを引き上げる



「(マジかよ!!悪魔だと!?人類種の味方してる悪魔の「七罪」ならまだしも、敵対してるのか味方なのかわからない新種の悪魔だと!?)」


目の前の男は困ったように笑う。


「警戒しないでくれないかな?悪魔は恐らく君たちにとって最大級の警戒すべき存在かもしれないが、少なくとも敵対するつもりはないよ」


「本当か?」


「もし敵対するならあとくされなく消してるよ」


「それもそうか」


俺はとりあえず剣を収める事にした。


「さて自己紹介しようか、僕はテンマ=アクタビ、なんだかんだ一年前にこの場所に流れ着いた悪魔さ」


「俺はA級冒険者のジョイナスだ、よろしくたのむ」


こうして俺は不可思議な悪魔との初対面をしたのだった。



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