第二章 アンドロイド人形が見守る

2-0 通信履歴_最愛な人02.m4a

「もしもし?」

「……」

「確認させてください。先週の無言電話君ですか?」

「……」

「喋らなければ認めるっていうことにしますね」

「……」

「他人のことを言う資格はないけど、あなたは本当に変人ですね!この前に二時間も僕のつまらない話を聞いたのに教訓を学んでいませんか?来月の携帯料金は爆上がりますよ」

「……」

「もしかして大人のおもちゃ屋の販売員について興味がある訳ですか?そうなら、心に留めないでくださいね。フィールド調査を行ったことがなくて、ただ僕自身の買い物経験やエロサイトの記事で作り上げたものなので、事実と一致する場合は、まったくの偶然です」

「……」

「それとも僕が適当に作った話が好きですか……うーん、本当なら良かったです。今日はちょうど差戻し連絡を受け取りましたので読者の慰めがどうしても必要です」

「……」

「三秒で僕の妄想を否定するため電話切るチャンスを与えます。三、二、一」

「……」

「まだいますね。ありがとうございます。なんかお返しをしないとね、何かいいですか……では、大人のおもちゃ屋の販売員としてまた二時間にぶつくさ言いましょうか?」

「……」

「接客のクレームを聞きたいみたいですね、それなら満足させてあげますよ。エッヘン、エッヘン!」

「……」

「『もしもし──誰ですか?くそ、また無言電話か?どこの暇人なん?やることがなければ……何やってもいいよ!』」

「……」

「『死人のように黙ってないで……くそ、帰る前に来たお客さんを思い出した。七日間の試用期間が過ぎたくせに返品したいって、あのくそ返品理由はなんなんだ!』

「……」

「『『おたくのデート用媚薬は全く効かないよ。二倍の量入れてもあの女は全く寝てくれないし、しかも俺を酔わせるほど元気だった』

 当たり前じゃん!これは睡眠薬じゃなくて媚薬だよ。これを飲んだら三日三晩続いてノリノリでやるのはどんな問題がある?あいつは自分の相手が死体のようにいくら突いても動かないことを願っているのか?こういう需要があれば右に曲がってラブドールエリアへどうぞ、そこなら甘い系からお姉系まで全部揃えてるわ!』」

「……」

「『睡眠レイプをやりたいなら、素直に睡眠薬を買えよ!それかデートレイプドラッグを買えば……ちょっと待ってよ、彼はもしかしてうちは名前を変えてデートレイプドラッグを売ってる店だと勘違いしてる?そうだったら警察に通報したほうがいいじゃない?』」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る