アンドロイド人形は点滴スタンドの夢を見るか
M.貓子(M.ネココ)/KadoKado 角角者
第一章 アンドロイド人形の受け取り
1-0 通信履歴_最愛な人01.m4a
「もしもし、どちら様ですか?」
「……」
「もしもし──聞こえますか?」
「……」
「無言電話ですか?迷惑ですね──悪いですが、そう言いませんよ。今ちょうど躓いてしまったので、原稿をほっとくための言い訳やインスピレーションが早急に必要ですよ。だから……僕の原稿とメンタルのために、通話代を貢いで下さい」
「……」
「あらまあ、ここまで言っても切りませんか?では、遠慮なくいただきます」
「……」
「真夜中に知らない人に電話をかける理由を当ててあげましょうか!でも、先に言っておきますが、僕は探偵ではなく、ただ躓きすぎて人生に行き詰まった貧乏な小説家です。というわけで、これからの発言は完全に個人的な推測でありますので、間違っても謝罪もしない罪悪感もありませんよ。だって、僕の仕事は物語を作ることですもんね」
「……」
「はい、これはあなたが逃げる最後のチャンスです。僕のインスピレーションまたは原稿料になりたくないなら、さっさと逃げて下さい」
「……」
「まだ電話を切らないですか?あなたの勇気と寛大さに敬意を表します。発信の動機については……ひっくり返った時に携帯を押してしまって、知らないうちにロックを解除して発信してしまった。でもこれじゃつまらないので破棄します」
「……」
「そして、同じ理由に基づいて『嫌がらせしたいだけ』も採用しません。上記の二つを排除したら、何か面白くて理屈の通る動機と言えば……」
「……」
「ありました!助けを求めることですね!あなたは密かに監禁されており、助けを求める唯一の方法は、あなたが苦労して手に入れた携帯です。しかし、犯人に監視されており、電話をかけるチャンスがあったとしても、声を出して助けを求めることはできません。これで繰り返して110と119でイタズラ扱いにされていたあなたは、絶望的になって一般人に電話をして、10回以上秒で切られてからやっと……」
「……」
「僕が『妄想好きで躓いている作家に繋いた』と言おうとしていたと思いますか?違うよ。それは現実の出来事であって、僕が言いたい話ではないですよ。僕の話では、通話ボタンを押したのは……生活に苦しんでいて柔軟性を失って、文句ばかり言って、他人を気遣う暇がない大人のおもちゃ屋のおじさん販売員です!」
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