第三話 各国史②

(私の子……?)


「そう。貴女は私の子。貴女が選んで私が因子をあげた。だから私の子」


 えっと、情報を整理しよう。

 まず、白の聖霊様? は女神の子である五大王種族の一種族。龍族も同じく。

 だから女神の子って言うならわかるんだ。……私の子? 聖霊様の子供っていうこと?


(私は女神の愛し子なんじゃなかったの?)


「……白の聖霊様。その話はまだスイには早すぎるかと」


「あら? ……スイって学生じゃないの?」


「はい。まだ20歳です」


「……申し訳なかったわ、スイ。危うく貴女を竜にさせてしまうところだった」


(竜……?)


「それについては後ほど教えます。大事なことですので」


 私が会話を理解する前に話は進んでいく。


「……スイ。貴女は愛し子だから、貴女が好きなように決められるの。例えば……セイに敬語をやめてほしいって命令すれば、セイは頷くでしょう」


「いえ。例え命令されても敬語は崩せません」


「……もう。話を合わせなさい。何が言いたいのかというと……諦めないでほしいの。欲求に素直に生きてみてほしいの。我慢をせずにね」


 ……我慢をせずに素直に。

 果たしてそんなことが可能なのだろうか。

 地球で慣れきってしまったのに。


「大丈夫。龍族なんて2000年は生きるわ。20年の慣れなんてあっという間よ」


(え? 心が読めて……?)


「ふふ。会えて嬉しかったわ。また会いましょう」


 呆然として、頭が混乱している間に白の聖霊様は、時空の歪みの向こう側に消えてしまった……。


(……何の話をしてたんだっけ)


「なぜスイが皇王と同じ位なのかという話ですよ」


(あぁ……結局どうしてなの?)


「祝福された数が同じだからです」


 また新たに生まれた疑問を解消しようと念じかけた時、口に人差し指を置かれた。


「それはもう少し世界を知ってから……ね?」


 はぅぁ……!

 整っている人が醸し出す底しれない奥深さと、普段敬語の人が出すタメ口の高低差が凄い。

 心臓が、息が、止まりそうになった……。


「さて、歴史に戻りましょう。……龍族のことについては、ドラゴンと龍人の2つの姿を持っていること。龍人姿では、角と翼と尻尾があり、魔術で収納可能なこと。職業はパスして、あとは色ですかね。……龍族は主に、7色どれかの色を纏って生まれます。それは赤・黄・青・緑・茶・白・黒ですが、たまに紫・水・灰などの混合色の色を纏って生まれる場合もあります。なのでまぁ……とてもカラフルですね」


 龍族は私含めてまだ4人しか見たことがない。

 だからどれほどのカラフルさなのかはわからないが、確かに地球とは違って親の色素を受け継いでいるわけではなさそうだ。

 だってどれだけ紫を灰色で薄めても、青色にはならないだろうから。


「龍族はこれまで。続いては鳥族ですね。中位種族の一種族で、寿命は1000年ほどです。龍族と同じように、鳥の姿と鳥人の姿を持っています。空を飛べる翼を持っており、鳥族にのみ効力のある『鳥の掟』が存在します。

 そして次に恐竜族です。彼らも中位種族の一種族で、寿命は1000年ほどです。龍族と同じように、恐竜の姿と恐竜人の姿を持っていて、恐竜族にのみ効力のある『恐竜の掟』が存在します。

 最後に蛇族ですね。彼らも中位種族の一種族で、寿命は1000年ほど。龍族と同じように、蛇の姿と蛇人の姿を持っていて、蛇族にのみ効力のある『蛇の掟』が存在します。

 以上が、龍皇国に住む種族と特徴でした。職業や暮らし方などはそれぞれ違うので、見に行ってみますか」


 よくわからないことばかりではあるが、とりあえずセイが見せてくれる世界は気になるため、そのまま身を任せることにする。

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神の理想郷 霜月餅菜 @Shika7737

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