地獄に落ちたけどなんか思ってたのと違う

@pnizaemon

驚愕の地獄

被告人、川上時雨、お前は地獄いきの刑に処す。尚、地獄では、シグレという名前でカタカナ表記で暮らすように。


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数時間前


俺は今日で21歳の誕生日。自分で言うのも癪だけど、祝ってくれる人なんていない、だって俺は万引き窃盗強盗軽犯罪を何回も犯してきたし、今はネトゲの世界に入り浸るただのニートだからだ。ラノベ小説を読み漁り、ネトゲに翌日の朝まで潜り、スナック菓子の袋がそこかしこに転がった部屋で生活し、収入源は親が送ってくれる月5万だけ。


そのうち家賃で4万とられてるから、実際残るのは1万、それも早々に底を尽きるから、万引きの繰り返し。そこそこ終わってる人生だと思う。


今日も万引きをしようとそそくさと着替え、信号も待ちきれず飛び出した俺の目の前には猛スピードで迫る軽自動車が。


死因も人生もちっぽけだったなと思いながら、俺は血の水たまりの中で目を閉じた。


目を開けると、そこは赤々しかった。そこに並ぶたくさんの人、人、人、。


ほとんどが老人で、たまに俺みたいな若いやつ。ごくまれに外国人がいるくらいの内訳だった。どうやらみんな何かのために並んでるみたいなので、俺も並ぶことにした。


ここがどこだか何のために並んでいるかもわからないので、俺は目の前に並んでいた70代くらいの老人に聞くことにした。


「ここってどこなんですかね?後、これって何のための行列ですか?来たばっかでなんもわかんないんですよね。」


そういうと、その老人は、しわしわの手で俺の手を握ってくると、


「ここは死者の振り分け所じゃ。天国、地獄、転生、異世界流しの4つがあって、生前に犯した罪の大きさによって決まるらしいぞ。」


ほえー、、、異世界に流しってのがついてるのが気になるけど、どうやら結構ヤバい気がしてきた。軽犯罪しか犯してないけど、だいぶやばいところに送られる気がする。


そんなこんなでずっと待ってるけど、全然進まない。そろそろイライラしてきた。


それにしても、異世界転生なんてありえないと思っていたけど、こうして聞いてる限りでは、4分の1でなる可能性があるらしい。


全国の異世界への憧れを持ってる子たちに行けるよって教えたい気分だ。


ようやく自分の番が回ってきた。全然判決を下していく人の事を見てなかったので、どんなんだろうとみてみると、めちゃくちゃデカかった。


いつかアニメで、閻魔様がめちゃくちゃデカいイメージを植え付けられた気がするけど、想像を絶するくらいにはデカかった。


何なら、今まで見えてたけど、ただの装飾だと思っていただけだったらしい。


そして、数時間のあいだ判決が聞こえる中、1度も聞こえなかった、


被告人、川上時雨、お前は地獄いきの刑に処す。尚、地獄では、シグレという名前でカタカナ表記で暮らすように。


『地獄』という単語が聞こえた。


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閻魔様のような巨大な人物の判決を受けた後、光を失った景色に再び光が戻った時、俺は目を疑った。


そこには鬼と人間が仲良く遊んでいたのだ。


それだけじゃない。立派な家やビル、装飾用品など、残念ながら電話やスマホ、携帯などの電子機器はなかったが、それ以外は現代日本と大差なかった。


むしろ、自動車の排気ガスがない、中毒性のある漫画や電子機器はない、光がありすぎる蛍光灯はない、というニートの俺が外と触れ合ったりする機会を与えるためだけに作られたかのようなところだった。


姿は全く変わっておらず、21歳の時のまま、変わったものと言ったら着ているものがちょっといいものになったくらいか。


地獄って聞いたとき、窯の湯でぐつぐつ茹でられたり、血みどろの湖があったり、針の山を歩かされたり、なんなら閻魔様に舌を引っこ抜かれたりということを想像するだろう。実際俺もそう思った。


でも、思ってたのとは全然違うようだ。地獄なんてしょせん想像だけのものであって、人間界の地獄は地獄だが、地獄界の地獄は、天国であった。


そんな思っていたのとは違う景色にぽけぇっとしてたら、若い男の人間が鬼やら人間やらをわらわら連れてきた

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