第11話 孤児院で過ごす初めての夜
「じゃあ、2人に部屋の紹介をしよう、メアリ!」
「そうしましょう、エミリお姉ちゃん。さあ、2人ともこっちに来てください!」
というわけで、家族棟に住む2人を含めた8人に仲間入りをするため、私たちは部屋を案内してもらうことになった。
きしむ階段を上り、3階まで行った。
階段を上がりきった突き当たりに2つのドアがあり、それぞれのドアに木製のプレートが掛けてある。
文字は読めないはずなのに、外国語の字幕版映画で看板が出てきたとき、したに‘‘○○屋‘‘などと書かれた字幕が出るかのように意味が頭の中に浮かび上がってきた。
左は男子棟のドア、右が家族棟のドアだ。
メアリが家族棟のドアを開けると、小5の時の山梨の宿泊体験の時の宿舎のような、超広い部屋に二段ベッドが大量に並んだ空間があった。
二段ベッドは14セットあり、部屋の両端に7セットずつ並んでいる。
大きく開いた中央には緑を基調にしたカーペットが敷いてあり、その上に濃い茶色の木目の大きな机がある。ベランダがベッドのない一番奥の壁にある。窓とカーテンは二段ベッドの二段目のところに1つずつ設置されている。
「「綺麗だね!」」
「気に入ってくれてよかった~!ルピスちゃんはあそこの2段目、ルイド君は同じベッドの1段目ね!」
先ほどミオに渡した大切な物を入れた箱がベッドの横に2つ置いてある。
念のため中を確認すると、『よろしくね!』と書かれたカードとともにルピスの宝物のブローチがしっかりと入っていた。
「ルピスさん、はしごは登れますか?」
「はい!」
試しにそれぞれベッドで寝心地を確認する。
若干藁のような感触があるが、あくまで綿のかさましで下に入っているだけなので、全く不快感がない。むしろスプリングではなく綿が入っているせいで、羽の上に寝ているかのようにふわふわだ。
「きもちぃー…」
「そのベッドはアーレイベーティックの特産なのですよ!気持ちいいですよね!」
「うん!」
「皆!夜ごはんの時間ですよ!」
マーレの言葉に、ベッドから降りて急いで部屋を出る。
階段を下って1階の食堂に帰ってくると、配膳当番の仕事の始まりだ。
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