第5話 もっかい外にでも出よう
頭の中で「うっせえわ」を流したまま、外に出た。
廊下を通って両親に許可を貰うのはめんどくさいので、部屋の窓を開けてそのまま外に出る。
「ああ、快適~」
流石にあんな小さい部屋にいると息が詰まってくる。
深呼吸をし、塀を越えて外へ出た。
どこかからルピスの「もうやだ…」という声が聞こえたが、部屋がどこかわからないので今はほおっておこう。転生しても変わらない弟(現妹)の心配性ぶりにあきれつつ、街道へ飛び出す。
思わぬところから出てきたので、近くを歩いていた女の子に驚かれた。
「ごめんね」と言うと、「いいえ、大丈夫です。」と返された。
まだ恐らく7歳くらいの子なのに不思議な喋り方をするな、と思ったが、貴族の女の子はこのような喋り方をするように幼児期から教育されるらしい。
大変だな、と思いつつ街道を歩くと、ルイドの記憶にある魔石屋さんに着いた。
魔石屋って何だろう、と呟きつつドアを開ける。
「おお、ルピス君じゃないか。いらっしゃい。」
「こんにちは、ディーゼウスさん。」
ディーゼウスさんは1級中流貴族で、家系が代々魔石屋を営んでいるらしい。
店内には赤や緑、黄色など色とりどりの魔石が並んでいるらしい。
何に使うのだろうと思っていると、記憶が教えてくれた。
どうやらこの魔石は、魔力が先天的に足りない人や、まだ体が未熟で魔力をためることが出来ない子供などが魔法を使う時に補助するものらしく、色が違うのは属性があるかららしい。
ん?『魔力が枯渇してしまった子供は孤児院へ入れられるらしい』?
つまりそれって、うちの魔力が枯渇すれば、孤児院に行けるってことだよね?
よし、枯渇させるか!
「よし!じゃあ、ディーゼウスさん、バイバイ!」
「ああ、またな。」
魔術の力なのかは分からないが、僕がドアの前に立つと音もせず古臭いドアが開いた。
路地に出ると、人の少ない森へ向かった。もちろん、魔力を放出するためだ。
「んーと、液体を手に集めるイメージで魔力管…って何⁉から放出する、と…?
よくわからん…ま、やってみるかぁ。」
ゆるーい感じでなんとなくやってみようとした、その時。
どぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおんっ!
「ぎゃんっ!」
100mを優に超えるほどの水柱が現れた。
「あがぁ…なんだよぉ…びっくりすんなぁ…」
すっかり腰が抜けた。
たぶんしばらくしたら何の騒ぎだ、と物好きたちが押し寄せてくるだろう。自分はぜひとも早めに退散させていただこう。
階段を、いかにも、予想外なことが起きたと言わんばかりに駈け下りていると、さっそく数人の人だかりが出来ていた。
「一体何が起きたんだ⁉」
「あ、あそこに森から戻ってきた子供がいるぞ!あいつじゃないか⁉」
「あ、い、いや!僕もさっきたまたま目撃して、びっくりして戻ってきたところなんです!!」
「ああ、そうだったか。びっくりしただろう?」
「は、はい…」
嘘はついてない。
魔力を放出したらたまたまもの凄いのが出てきたから、びっくりしてもどってきたんだ。
「しかし、いったいそいつは何をしてるんだろうな…?」
「なあ、自殺行為だよな、あんなの。」
「ったく、なんなんだよ…」
ん?自殺、行為…?
ものすごいめまいがして、
意識が暗転した。
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