第27話 目覚め、そして普通の生活と疑問
「う…ん…」
いつの間にか、知らない部屋にいた。
「マリリーン様!お気づきになられましたわね!」
「ここは…、どこですの?」
「ここは救護室です。貴族学校内で救護が必要となった学生や教職員が運ばれる場所ですわ。」
「救護室…?」
「マリリーン様は、騎獣を召喚する授業で突然倒れられたのです。」
「ああ、そうでしたわね…。何分意識が無かったのですか?」
「1時間くらいでしょうか…。もう大丈夫ですか?」
「ええ、大丈夫です。ディールマティーナ、心配させてしまって申し訳ございませんでしたわ…。」
「いいえ、良いのですわ。大丈夫なら良かったです。」
「自室へ戻ってもよろしいですか?」
「ええ、勿論ですわ。」
ディールマティーナが看護師さんみたいな人に回復を報告すると、自室へ戻り始めた。
「1時間ということは、もう授業は終わっているのですか?」
「そうですわね。あと二十数分で夕食が始まりますわ。」
「わかりました。…着きましたわね。」
ディールマティーナがドアを開け、自室の2つ用意された椅子のうちの1つに座る。
「そういえばわたくし、ディールマティーナに聞きたいことがあるのですが?」
「何でも聞きますわよ。」
「良かったです。ではわたくしの隣に座ってください。」
側仕えは基本立っている。そのままだと話しずらいので、自分の隣に座ってもらった。
「芽吹きの休み、とは何の事でしょう?」
前に母さんに『芽吹きの休みには戻ってきてね』と言われたのだが、何のことかわからない。
「ああ、芽吹きの休みとは、植物の芽吹く春の休みの事ですわ。
学年が変わる秋の少し前にも、実りの休みがありますわ。」
「そうだったのですわね。…あと、わたくしの誕生季は秋なので、
秋の誕生日祭典の後に貴族学校に移ったのですが、秋生まれのわたくしたちより前に生まれた子は、秋に貴族学校に移るのですか?」
「ええ、それはですね。一番早く生まれた冬生まれの子供たちから貴族学校に移るのですが、秋生まれの子供たちが移り入学式が行われるまで、貴族学校の学生寮の一番下の階にある「子供部屋」と呼ばれる場所で話したり、遊んだりして入学を待つのですよ。
子供部屋は芽吹きの休みと実りの休みに実家に帰れない学生も暇つぶしや友達作りに利用するのですよ。」
「そうだったのですね。」
謎が解けた。
「あら、もうすぐ夕食が始まってしまいますわ。」
「分かりました。移動しましょう。」
アーゲルアーカイクの部屋で、他の学生たちに心配されながら夕食を取った後、お風呂に入って自室に戻り、就寝した。
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