第26話 騎獣を召喚
中央館から魔術学室へ移動して、席に着く。
「今日は皆さんに騎獣を作ってもらいます。
今から使うものを配ります。机の上に置いておいてください。」
そう言うと、皆に杖を使って魔紙と、魔法陣のようなものが書かれた薄い紙、小さな透明の魔石を配った。
「…行き渡りましたね。…では、騎獣の作り方を教えます。
まず、杖をペンに変えてください。」
『『英知の神ブックアイレーナよ、我が身の魔力と引き換えに、書く能力を与えたまえ』』
自分たちの杖が羽ペンに変わった。
「魔紙と魔法陣の書かれた紙を重ねて、上からなぞってください。」
言われた通りに紙を重ね、魔法陣の線をなぞる。
自分の魔力の色の線が引かれていく。
…おお、これ結構きついかも…
なぞるのが終わると、首が痛くなってきた。
少し首を動かしていると、ほとんどの人たちがなぞりを終えていた。
「その次に、透明の魔石に魔力を流しながら、自分の騎獣を思い浮かべてください。流し終わったら、『キャバリー』と呪文を唱えなさい。」
…どんな騎獣にしよう?…
少し迷った後に、ボンネットのところが猫の顔になっているバスをそのまま小さくした感じの騎獣にすることにした。
…この世界で受け入れられるかわからんけれど、まあ良いか…
下はタイヤではなく猫の足で、尻尾が付いている。
…サイズが変更できるようにしようかな?あ、シートベルトもつけなきゃ…
遊園地でよく乗っていて得意だったゴーカートのバスっぽい形の猫版を思い浮かべながら、魔石に魔力を流していく。
少し魔力が戻る感じがして、魔石の魔力が満杯の状況になった。
『キャバリー』
「…わあっ」
魔石の中にぼんやりと自分のイメージした騎獣が出てきた。
「マリリーン様も染め終わったのですか?
わたくしはこのような騎獣を作りましたわ。」
ハリエットが話しかけてきた。
ハリエットの騎獣は、ユニコーンのようなものだ。
「素敵ですわね!わたくしはこのような騎獣を作りましたわよ。」
「まあ!とても可愛らしいですわね!」
「有り難う存じます。」
「お二人とも素敵な騎獣ですわね。わたくしのはこのような物なのですが…。
どうでしょうか?」
「まあ、素敵ですわ!」
レイカーンの騎獣は、白のウサギ、じゃなくてルバートの形で、
首と耳の付け根には幾つものカラフルな花が付いている。
「皆さん、魔石の準備は出来ましたね?
それでは、魔紙の魔法陣の真ん中にその魔石を置いて、
魔法陣に手を置き、もう一度、『キャバリー』と唱えてください。」
言われたように魔法陣と魔石の準備をし、魔法陣に手を置く。
『キャバリー』
大きなシャボン玉のような物が、空きスペースまで飛んで行った。
急いで追いかけると、シャボン玉が着地して弾けた。
「出来た…!」
本当にイメージ通りのものが出来ている。
早速ドアを開け、乗り込んでみる。
…おお、中もいい感じ…
皆騎獣が出せたようで、乗り込んだり触ったりしている。
…あれ?…
私以外の皆が馬やライオン、ミューニャやルバートをデザインしたもので、上に乗り込むものだ。
しばらくして、皆私の騎獣に注目し始めた。
「マリリーン様、それはどのように動かすのですか?」
「ああ、ここをこうして、発進しますわ。」
実際に動かすわけにはいかないので、ジェスチャーで説明する。
「面白い造りだな。」
「これなら風も当たらないし、落ちる心配もない。楽そうだな。」
意外と好評だ。
「ん?」
「どうしたのですか?」
「あ…」
意識が突然消えてきた。
そういえば最近、かなり忙しかったような気もする。
意識が完全に消えた。
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