SS リュート 不思議なお姉ちゃん
僕はリュート。今は2歳。父さんと母さんとお兄ちゃんのデュートとお姉ちゃんのマリリーンと暮らしているんだ。
0歳の時の事、話すね。
◆
今日はデューの誕生日祭典。
10歳より下の子供は神殿に行けないから、マリーン姉さんとお留守番をしたんだ。
実はこのマリーン姉さん、少し不思議なんだ。
僕たちより少し見た目がきれいで、考えたことのないような物をよく作るんだ。
この間も不思議で綺麗な『編み込み』っていう髪形をしていたり、手先の器用な母さんも驚くほど。しかも、誕生日祭典の後は「貴族学校」っていうお貴族様の学校に行くんだって。
でもとっても体が弱くて、2月に一回くらい寝込むんだ。
2歳の僕と、体調が悪くなる間隔が同じくらい。
ね、不思議でしょ?まるで別の世界から来たみたい…。
「リュー、遊ぼ。」
ちょうど退屈になったころ。マリーン姉さんが声を掛けてきた。
「うん。絵本読んで。」
マリーン姉さんは声も綺麗で、文字を書くのも上手なんだ。
「うん、いいよ。
『なぜこの国には本がたくさんあるの?』
あなたもこの国に、本がたくさんあるのに、ほかのおもちゃが全くないのか不思議
に思ったことがあるでしょう。
実は、こんなお話があったんです。
ある所に、アルペンキューテという平民の女の子がいました。
アルペンキューテは上流平民で、貴族病にかかっていました。
それを治すために、貴族学校へ行こうとしましたが、
前の日に病気にかかってしまいます。
アルペンキューテのお母さんは、彼女を看病していましたが、
ふっと白い光がアルペンキューテを包み込んだと言います。
次の日、アルペンキューテは回復し、貴族学校へ行きましたが、
正常だった価値観、少しきつかった態度や雰囲気が変わっていたのです。
ただ恐ろしいほど多くの知識と魔力と優しさの持ち主で、
聖女と崇められるようまでになりました。
でも、玩具や服には全く興味がなく、
なので本ばかりがこの国で発達したのです。
お終い。 」
「マリーン姉さん、この本面白いね!」
この本は僕の好きな本のうちの1つだ。
「そうだね。」
マリーン姉さんは何か考えている。
「ただいま!マリリーン、リュート!」
ディーたちが帰ってきた。
「お帰り、デュー兄さん。どうだった?」
「デュー、お帰り!楽しかった?」
「うーん、少し緊張したけど、神殿は石造りで、カッコよくて涼しかったぞ。
あ、これお土産だ。市場にあったんだ。」
そういうと、僕には小さなメダルを、マリーン姉さんには小さな籠編みのバッグをくれた。
「デュート、お前にはこれをあげる。」
母さんと父さんも帰っていて、デューに大きな包みを渡した。
「ほら、仕事着だ。」
「わぁっ!父さん、母さん、ありがとう!
開けていい?」
「勿論だ。」
デューが中を開けると、デューがこれから仕事をする細工見習いの仕事着が入っていた。
「すげえ!」
「デュー、よかったね!」
「ああ。」
「さあ、今夜は豪華な夕飯にするぞ!」
「やったぁ!」
その後にも、マリーン姉さんがとてもおいしいサラダを作った。
◆
僕はマリーン姉さんを尊敬しているんだ。僕の身の回りの友達みんなで、
『英知の聖女マリリーン様』って言ってるんだ。だって、本当にその通りだと思わない?
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