SS ルーティト 生意気な平民

俺はルーティト・アーゲルアーカイク・ディモンド。3級中流貴族。

今はちょうど起きたところ。

コンコン。コンコン。

…何だ⁉…

「誰ですか?」

「ハリエットです。レイカーン様がいなくなりました。今、皆で協力して捜索しています。協力していただけませんでしょうか?」

「あぁ、ハリエット様でしたか。良い、ですよ。」

ハリエット様は俺が好きな人だが、まったく接点がない。

…って、レイカーン⁉誰だ⁉ああ、あの魔力多めの下流平民か

ハリエット様も優しすぎだよな。仮にも3級上流貴族とはいえ、平民とそんな仲良くなるなんて…

軽く寝着を整えて、外に出る。既に数人、捜索を始めている。

「レイカーン様!どこにいらっしゃるの…」

「レイカーン様」

「レイカーン様…」

…皆平民に優しすぎ…

「子供たちは中庭も捜索してください!わたくしは先生方やほかの側仕え達に報告し、捜索していただきます!」

レイカーンの側仕え、レージルユイナが仕切っている。

言われた通り、周りにいた子供たちが中庭へ出ていく。

「ったく、なんで下流平民がいなくなったのを探さなきゃいけないんだよ…」

思わず本音が漏れた。

「ルーティト様、魔力量はあなたの方が下なのですよ!」

ハリエットに怒られた。まあ、それも事実だ。

「はぁ…」

「ルーティト。仲間なんだよ?」

ナルディウスが話しかけてきた。

「わかったわかった。」

もう面倒くさい。

「お前も平民なのに、何言ってるんだよ。」

友人のディーモント様も話し始めた。それも正論。あいつも平民だ。

「っ!」

反撃成功。痛いところを突かれたようだ。

「ってかさ、あのマリリーンってやつ、聖女だ聖女だ言ってるけれど、

ちょっと知識あって魔力多めの中流平民だよな。」

ディーモント様がまた話し始めた。

「…ルーティト様!ディーモント様!」

同学年の2級上流貴族、アルバーティウス様が声を掛けてきた。

「「…」」

…はあ。面倒くさい…

…「レイカーン様ー!出てきてください…!」

ハリエット様の叫びが響いた。


この時、俺は考えもしなかった。

あのレイカーンと結婚し、貴族街で生活するなんて。

あのマリリーンが本当の聖女になるなんて。


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猫原です。またまたこんにちは。

今回は対立派の貴族を書いてみました。

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