SS ナルディウス 僕は平民
僕はナルディウス。生まれたころから体が弱く、「貴族病」と診断された。
10歳になり、誕生日祭典に参加した。
…あの子も貴族学校へ行くのか…
今回貴族学校へ行くのは僕と銀に近い金髪に、深い赤の眼をした女の子だけだった。
あの子はマリリーンという名前で、中流平民だそうだ。
貴族館へ行き、短期貴族登録というものを受けに行く。
貴族館へ着くと、お貴族様の男の人が話しかけてきた。
「身分は?」
「えっと…上流平民です」
思わず緊張して、声がうまく出ない。
「分かりました。希望する側仕えの人数と性別、年齢は?」
上手くやっていけそうな若い男の人が良い。
「う~ん、1人の男の人、20代から30代の前半の方…です。」
「了解いたしました。それでは、何級何流貴族になるかを診断させていただきます。」
そういわれて、誕生日祭典の時みたいな杖を持たされた。
「えっと、3級中流貴族ですね。立ち振る舞いは少し改善点はありますが、容姿を磨くところなどは頑張っているようですね。
貴族登録名はナルディウス・アーゲルアーカイク・ナイトザークスです。」
貴族登録名というものは普段と違い少し長い。
自分の名前と領地名、お父さんの名前だ。
「わ、分かりました」
「それでは側仕えの候補です。
5級中流、23歳レルベース。力仕事や子供相手が得意で、性格は割と活発ですね。
ですが側仕えとしての力はしっかり持っています。給料は9カリット。
次は5級上流25歳ダイレディウス。家事と主の周辺のお世話が得意です。
性格は静かです。給料10.3カリット。
候補はこの2人です。」
金銭的には服などを買うことを考えても平気だ。
レルベースもダイレディウスも頼もしそうだし、抜けているところは特にない。
容姿もきれいな方だ。
…でも、活発な人って僕苦手なんだよな。家事が得意でおとなしめの側仕えの方が相性が良さそう…
「ダイレディウスさんにお願いいたしたいと思いますぅっ!」
ああ、もう緊張がピークだ。声がおかしい。
「ダイレディウスですね。了解しました。」
「御雇い頂き誠に有り難うございます。
ダイレディウス・アーゲルアーカイク・レダディウスです。
ナルディウス様、よろしくお願いいたします。」
丁寧な言葉遣いだけど顔に笑みが浮かんでいて、優しそうな雰囲気だ。
その後は、貴族学校で使うお金を借りて、制服と魔術具の金の小さなイアリングをつける。
…わあ、この制服かっこいい。僕もこんな服を作ってみたいな…
これで貴族学校に行く準備は終わりで、
お父さんと別れることになる。
「バイバイ、お父さん。」
「あぁ。頑張ってこいよ。」
大きく手を振り、ダイレディウスと馬車に乗る。
「ダイレディウス様、よろしくお願いします。」
「様はつけなくていいのですよ。呼び捨てでよろしいです。また、主らしい言葉遣いでお願いいたします」
「は、はい。ダイレディウス、今日の予定を教えてくれないか?」
「分かりました。まず貴族学校で入学式を受け、夕食、湯浴み、就寝となります。」
「承知した。」
しばらくして。
「ほら、着きました。」
「おぉ。大きいな…。」
「全領地の学生たちが集まっていますからね。
僕も初めて来たときは驚きました。」
この時、僕は知らない。
一緒に誕生日祭典を受けたマリリーンが英知の聖女と、制服に感激した僕が歴史に名を残す貴族洋裁師となることも、僕たちが夫婦になることも。
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