第16話 紋章作り

今日は授業は少なく、紋章作りを魔術学の授業でするだけだ。

その代わり魔力第二審査というものがあり、かなり忙しい。

魔力第二審査とは、1年生が神からのご加護…ファンタジーすぎる…を受けている

か否かと、そのご加護が何種類で何からなのかを審査するらしい。

7年生の貴族学校卒業直前に第三審査があり、それでその先のことがいろいろ決まるということだそうだ。私も詳しくはまだ知らない。

朝食を摂り、宝石を持ち魔術学室へ行く。それぞれの席にアーリアディーナ先生が紙を2枚とペンを準備していた。

皆を座らせると先生が話し始めた。

「これは魔紙というもので、製作者の魔力が込められたものです。

今日はこれで紋章を作ります。」

先ず魔紙ではない方の紙に設計図を描く。先生が書いたお手本を見ながら、細かいデザインを入れる。

宝石の絵は真ん中で、周りを花で縁取り、上に名前を書く。

花だけだと寂しいので下部には好きな植物の葉を付け足す。

「こんな感じでしょうか…?」

アーリアディーナ先生に設計図を見せると、許可が貰えた。

数人設計図の許可が出ると、先生がまた説明を始めた。

「先ずこの魔紙に、先ほどの設計図の絵を写します。

魔紙と設計図を重ねて今から配るこの青いペンで設計図をなぞってください」

言われたとおりにすると、青いペンで書いているはずなのに金色の線が引かれていた。絵などが青く写る紙は前世にもあったが、金色の線が引けるものは初めて見たし、この普通の紙も魔紙も、先ほど説明されたこと以外に特に違うことはない。

すべて写し終わってしばらくすると、先生がまた説明を始めた。

「最後にこの宝石や動物の骨を紋章に写します。

写し方はこうです。

最初に宝石や骨をこの透明な液体に下半分付け、魔紙の空いたところに沈ませます。十数秒たったら魔紙から出し、液体をここの布で拭き取ります。

それで紋章は完成です。

では始めなさい。」

魔紙の中に宝石が沈むということが信じ難いが、きっとこの世界だと出来てしまうのだろう。

小さな木のバケツっぽい物に液体が入っているので、言われた通りにつける。

液体は本当に透明で、水と違うのは少しとろりとしていることだけだ。

魔紙に沈め、十数秒待つ。

…1,2,3,4,…これくらいかな?…

魔紙から出すと、周りの線と同じ金色で宝石が描かれていた。宝石を布で拭きながら、紋章を眺める。

…結構綺麗にできたなぁ。って、どういう原理で沈んで、あんな簡単に戻せて、

あんな綺麗に写るの⁉…

まだ作業が終わっていないハリエットをレイカーンと手伝っていると、魔紙を先生が集め始めた。これから魔紙を領主館へ持って行き、紋章を登録するらしい。

カラーン。

ハリエットも含めた皆が作業を終えたころに、授業終了を知らせる鐘がなった。

「皆さん、今回の授業は終わりです。…次は魔力第二審査ですね。

南館へ行けば、ほかの先生たちがいますよ。

それでは、行ってきなさい。」

私たちは南館へ行き始めた。




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今日からあとがきスタートします。


さて、割と平和に終わった魔術学の授業。

次の魔力第二審査の話では、マリリーンの新たな特性が見つかります。

皆さん、お楽しみに!

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