第13話 石鹸作り

放課後は夕食まで自由時間になっているようで、理科学で採ったハーブを

利用した石鹸を作ることにした。

前世で小学生の時に理科のワークショップで作ったものを思い出す。

食堂に隣接している給食室的な所から廃油をもらってきて、

さらに理科学室から粉末のナチュリウム(名前は違うけど聞いた感じだとナトリウムと同じだった)を少し貰って、厚紙(北館の用品店で買った)で型を作る。

水をみ、ナチュリウムナトリウムもどきと混ぜてみる。

透明になったら、廃油を入れる。そしてハーブをちぎって入れ、いい香りにする。

型に入れて、窓辺で乾燥させる。固まったら前世で言う主事さんとか公務員さんっぽい人に渡して、使ってもらおうと思っている。

4日後。

「うんうん。固まった」

ディールマティーナにナイフを用意してもらい、使いやすく切り分ける。

ディールマティーナも驚いているほど良い出来だ。

「主事さん!」

…どうやらこの世界でも主事さんって呼ぶらしいね。

何か異世界感消え失せた?…

「うん?」

主事さんはオティーディディア(初老の女性)さんと

ウルクスセーディオットさん(オティーディディアさんよりかは若い男性)がいて、

今いたのはオティーディディアさんだ。

洗浄魔法…異世界ファンタジー復活…で貴族学校を綺麗にしている。

「これ、石鹸なんですけど…、いい香りがしますよ。

自分で作りました。これ、お風呂場に配置していただけませんでしょうか?」

「おぉー。…いいね!この石鹸。何で作ったの?」

「理科学の先生から貰ったナチュリウムナトリウムもどきと、

廃油、自分で採った消臭効果のあるハーブです。

あ、あと水ですね。」

「成程。マリリーン、今度作り方を教えてくれない?」

「良いですよ。」

オティーディディアさんは浴室に石鹸を置きに行った。

「マリリーン様、もうすぐ夕食です。」

ディールマティーナが呼びに来た。

「分かりました。南館へ行きましょう。」

アーゲルアーカイクの扉を開け、いつもの席に座った。

ハリエットとレイカーンとお喋りしながらご飯を食べる。

「ハリエット様、レイカーン様。

今日のお風呂の石鹸は、私が作ったものなんですわ!

消臭効果のあるハーブですから、きっといい香りがしますわよ!」

「そうなんですの!楽しみですわ。」

ハリエットが一番うれしそうだ。美容関係に興味があるのだろうか。

「凄いです!どんななんでしょう…?」

レイカーンは製造過程が気になるようだ。今度教えようかな?

「それはお楽しみですわ。」

「「湯浴みの時間が楽しみですわ!」」

2人仲良く声を揃えた。

夕食を食べ終わり、浴場で男女別に再集合だ。

皆が私の作った石鹸に驚いている。隣で髪を洗っているハリエットが、

「洗髪料や洗顔料もいい香りにできないかしら…?」

と呟いているのを聞いて、今度はシャンプーを作ろうと思った。

石鹸はミントに近い香りがして、しかもハーブ石鹸導入前より

体を洗った後の爽快感が大きかった。

浴室を出ると、質問の波だった。

あまりにも質問が多いので、明日の放課後に主事さんも交えて

説明会(というより質問会になるかもしれない)を開催することになった。

寝巻に着替え、寝るときにディールマティーナにその話をすると

「マリリーン様はやはり聖女?」

という小さな呟きが聞こえた。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る