第11話 夕食と湯浴み

「さぁ、マリリーン様、南館へ行きましょう。」

「分かりました、ディールマティーナ。」

貴族学校には南館、北館、東館、西館、中央館、寮があるらしく、

南館は催事や食事に使うらしい。

北、東館は普段勉強するときに使われるそうで、

他にも必需品が売っている売店があるらしい。

西館は騎士の練習場と、貴族学校内の小神殿があるそうだ。

中央館は祝い事に使われ、寮は学生館1~3号館、側仕え館1~5館に分かれていて、

私の自室は学生館3号館にある。

南館に着くと、廊下があり、たくさんの扉が並んでいて、領地の文字がそれぞれの扉に刻まれている。

【アーゲルアーカイク】

「マリリーン様、着きました。」

扉を開けると、学年別に机が分かれていて、1年生の机には10脚くらい

椅子が置かれている。

「マリリーン様!」

「ハリエット様!」

友人になったハリエットの姿が見え、手を振る。

…貴族っぽく、なごやかに、和やかに…

どうやら自由席だったようで、

私はハリエットの隣に座る。

「マリリーン様、こんばんは。」

「ハリエット様、こんばんは。」

「明日から授業が始まるみたいですわ!」

「そうみたいですね。わたくしは魔術学と理科学科が楽しみですわ。」

「わたくしも魔術学が楽しそうだなと思っておりますわ。」

「ハリエット様ぁ!マリリーン様ぁ!」

「あら…?何方どなた?マリリーン様はご存じで?」

「わたくしは存じておりませんが…」

「あ、取り合えずいろんな人に声かけてたんです…

わたくしはレイカーン・アーゲルアーカイク・リーゼリブラースです。

4級上流貴族です。

宜しくお願いいたします…」

「わたくしはハリエット・アーゲルアーカイク・リューメティーネよ。

3級上流貴族。

宜しくお願いね。」

「わたくしはマリリーン・アーゲルアーカイク・ユリリーネですわ。

同じく3級上流貴族です。

宜しくお願いします。」

「あ、あの…わたくし、下流平民でして…」

「あら、そうなの?

全然気にしなくて良いのよ。」

まさか同じ平民がいると思わなかった。

「わたくしも中流平民なのよ。

別にそんなこと言う必要ないのよ。

ほら、座って。」

「そうなんですね…!

あ、じゃあ座らせていただきます…!」

『本日の料理は、アリメイテリーザの最上級生、7年生が作りました、

アウルベーリ魚のソテー、ワキュレとクエリレタスとトマトのサラダ、

キジリの実のジュース、バターロールパンです。』

「美味しそうなメニューですね…!」

レイカーンは家で美味しい料理があまり食べられないらしく、

嬉しそうな顔をしている。

「学生たちが料理を作るんですね…

料理苦手ですのに…大丈夫でしょうか…」

ハリエットは半絶望的な顔になっている。

「大丈夫ですよ。家政科もあるみたいですし。

あ、運ばれてきました」

…わぁ、美味しそう…

「すごいです!流石さすが7年生…」

「いただきます。

!このキジリ?の実、とっても美味しいですわ!」

「わあ、パンがふわふわです…!」

料理にテンションがアップしているのは私たちだけではないようで、

皆美味しい美味しいと言っている。

あっという間に夕食を食べ終わると、

側仕えとそれぞれの自室へ戻る。

「マリリーン様、夕食は如何いかがでしたか?」

「とてもおいしくて、思わず驚いてしまいました。

自分たちもこの料理を作ると思うと、なんだか緊張してしまいます…」

「その気持ちはわかりますわ。」

一度自室へ戻り、寝巻とタオル(東館で買ってきた)

を持ち、寮内の浴場へ行く。

久しぶりに(満足できるような洗髪、洗顔料は無かったけれど)

それっぽいお風呂に入ることが出来た。

浴場を出て、寝巻に着替える。

寝巻も驚くほどレースがたくさんついていた。

自室のベッドへ行き、就寝する。

忙しすぎた一日が終わった。

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