第10話 入学式

『新入生の皆様は、自分の名前が書かれた椅子にお座りください』

スピーカーもマイクも無いのに、女生徒の声が中央館に響く。

私は急いで、『マリリーン・アーゲルアーカイク・ユリリーネ』

と書かれた席に座る。

自領の深紫色のマントだけで無く、他領の色だろうか、

エメラルドグリーンやレモンイエローなどのマントが見えて、

とても華やかだ。

私の席は左端で、右隣には銀髪の女の子が座っている。

「マリリーン様で合っていまして?よろしくお願いしますね。」

あ、こっちむいた。って、めちゃめちゃ美人じゃん!

「あ、はい。よろしくお願いします…。」

「わたくしはハリエット・アーゲルアーカイク・リューメティーネ。」

「わたくしはマリリーン・アーゲルアーカイク・ユリリーネです。」

「敬語にならなくていいのよ。だって同じ3級上流貴族だもの?」

…好きな貴族系ドラマの言葉遣いが効いたっぽい。フツーに貴族だと思われてる…

「あ、あの…わたくし、実は中流平民でして…貴族病を治すために来ているんです。」

「そうなの⁉でも…言葉遣いもしっかりしているし、容姿端麗よね…?

自信もって、喋らなきゃじゃない?わたくし、身分はそんなに気にしません

わよ。友達になりませんか?」

「い、良いんですか!喜んで!」

色々な話をしていると、入学式が始まった。

校則の話をされ、在校生であることを証明するブローチを渡された。

ここに魔力を流して、自分の色に染めるらしい。

呼名され、各領地の同学年の領主候補生を紹介された。

うちはアウシュビッケル様がいるね。

金髪緑眼の男の子で、気が強そうだ。

それで入学式が終わり、自室へ戻った。

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