第6話 デュートの誕生日祭典

カラーン。カラーン。

「デュー兄さん、神殿に行かなくちゃ。」

「あぁ、分かってる。」

少し飛びまして、私今九歳になってます。

まだ貴族学校には行ってません。

デュートが十歳になり、同じ誕生月の子達と神殿…というものがあったのですよ~っまさか宗教系とはね~っ…へ出かけようとしている。

「じゃあマリリーン、また後でね。」

「うん!後で神殿のことを教えてね!」

「バイバイ、デュー!」

「リュート、バイバイ!」

どうやら神殿へは十歳未満はいけないようで、私はお留守番。

え?リュートって誰かって?

あぁ。リュートの話をしてなかったか。

半年前に生まれた弟なんだけど、この世界の赤ちゃんは言語発達が早いみたいで、

もう喋れます。見た目はデュートとそっくり。

「リュー、遊ぼ。」

「うん。絵本読んで。」

絵本とかはすごい読みたがるけど、ほかの遊びはそもそもこの世界で発達していないみたいだ。

「うん、いいよ。

『なぜこの国には本がたくさんあるの?』

あなたもこの国に、本がたくさんあるのに、ほかのおもちゃが全くないのか不思議

に思ったことがあるでしょう。

実は、こんなお話があったんです。

ある所に、アルペンキューテという平民の女の子がいました。

アルペンキューテは上流平民で、貴族病にかかっていました。

それを治すために、貴族学校へ行こうとしましたが、

前の日に病気にかかってしまいます。

アルペンキューテのお母さんは、彼女を看病していましたが、

ふっと白い光がアルペンキューテを包み込んだと言います。

次の日、アルペンキューテは回復し、貴族学校へ行きましたが、

正常だった価値観、少しきつかった態度や雰囲気が変わっていたのです。

ただ恐ろしいほど多くの知識と魔力と優しさの持ち主で、

聖女と崇められるようまでになりました。

でも、玩具や服には全く興味がなく、

なので本ばかりがこの国で発達したのです。


お終い。 」

「マリーン姉さん、この本面白いね!」

「そうだね。」

教科書のような内容だなと思いながら、本をしまった。

…この子も転生児だったのかな?…

境遇が少し似ている。

私も誕生日祭典について全く知らないし、

家族にも少し不思議がられることがある。

…私も聖女になっちゃったり?そしたら今度は植物だけ発展するかもね?…

「ただいま!マリリーン、リュート!」

「お帰り、デュー兄さん。どうだった?」

「デュー、お帰り!楽しかった?」

「うーん、少し緊張したけど、神殿は石造りで、カッコよくて涼しかったぞ。

あ、これお土産だ。市場にあったんだ。」

そういうと、私には小さな籠編みのトートバッグを、リュートには小さなメダルをくれた。

「デュート、お前にはこれをあげる。」

母さんと父さんも帰ってきて、デュートに大きな包みを渡す。

「ほら、仕事着だ。」

「わぁっ!父さん、母さん、ありがとう!

開けていい?」

「勿論だ。」

デュートが中を開けると、デュートがこれから仕事をする細工見習いの仕事着が入っていた。

「すげえ!」

「デュー、よかったね!」

「ああ。」

「さあ、今夜は豪華な夕飯にするぞ!」

「やったぁ!」

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