第4話 ホームシック

「それでね、レススと青くてきれいな実を見つけたんだ。」

「ああ、綺麗だな。それは確か、メルリって名前じゃなかった?」

デュートと森のことを話している。

「へえ、何に使うの?」

「しばらくすると硝子みたいに固くなるから、ビーズみたいにして、装飾品を作るらしいよ。」

「そうなんだ!今度ブレスレットを作ろうかな。」

「いいじゃん。デザインは母さんと相談してみたら?」

「うん。そうする。」

コンコン。

「あ、誰か来たみたいだよ、デュー兄。」

デュートが戸を開ける。

「マリリーンいる?」

ヌーヴォレコルトが顔を出した。

「うん、いるよ。マリリーン、ヌーヴォレコルトが来たぞ!」

私は急いで玄関へ行く。

「マリリーン、綺麗なビーズたくさんもらったから、コリアンネと一緒にアクセサリー作らない?」

「いいよ!メルリも持ってくね。」

外に出ると、コリアンネも待っていた。

「よし、行こう!」

ヌーヴォレコルト宅では、カリーンカがもてなしてくれた。

「ただいま~っ」

「お帰り。可愛いブレスレット!良かったわね。」

「うん。夜ごはんはなあに?」

「パン粥とクエリのサラダよ。」

「分かった。」

クエリとは、キュウリのような野菜だが、大根のような根野菜だ。

夕食を食べ終わり、お風呂…かと思いきや、随分日本と形式が違った。

洗面器サイズの桶に水を入れ、薄っぺらいタオルのような布を浸して絞り、体を拭く。

だけである。

ベットに入らされたが、中々寝付くことが出来なかった。

お風呂が不快だっただけではない。

「お母さん、お父さん、チロリ…」

家族や家、友達や先生を思い出す。

堰を切ったかのように涙が溢れ出てきた。

もうあの人たちに会えることはきっと無い。

「⁉」

なぜか体が熱っぽくなってきた。

「うっ、うっ…」

意識がだんだん溶けていく。

体の奥の奥にあった箱のようなものの蓋が大きく開いた。

炎が体に満ちていくようだ。

「はあっ、はあっ…」

「はあっ、はああぁぁぁっ…」

私の意識が途絶えた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る