第5話 ゲーム配信(LoL)
0/10/7……何度見ても、0/10/7……
俺は今、サモナーズリフトを彷徨っていた。
直後、一瞬で俺のキャラが消滅する。相手のチャンピオンのダメージによって、一瞬でDeadしたのだ。
そして、右上の0/10/7–––––Kill/Death/AssistKillの数字–––––が、0/11/7へと変化した。
「ど、どうしてこうなったんだろうか……」
話は30分前へと遡る……
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「地上のみなさんに、永遠の愛を!天より舞い降りた愛の天使、神乃愛です!」
俺はいつもと同じように(と言っても三回目だが)、両手でハートマークを作るアニメーションを再生する。
「と言うわけで今日やっていくのはこのゲーム!League of Legends、通称LoLです!」
“待ってた”
“だ、大丈夫かな……”
“ま、まあ大丈夫でしょ……たぶん”
ちらほらと不安に満ちたコメントが散見される。
「まだ起動もしてないので、操作方法もよく分かってないので……まずは、チュートリアルからやっていきます」
俺はそう宣言して、チュートリアルを進めていく。オートアタック、スキルの打ち方、チャンピオン(LoLのキャラのこと)、ミニオンなどの要素を学習する。
そして、トレーニングを15分ほどして、いざ実践ということになった。
「実践をする前に……なんですけど、使うチャンピオンを決めたいと思います。何かありますか?」
“アニーかな?やっぱり”
“使いやすさで言うならあり”
“ブリンクを持ったキャラの方がいいんじゃない?”
「ぶ、ぶりんく?って何ですか?」
聴き慣れない単語だ。確か……英語の意味はまばたき……とかだったか?
“あー、いわゆるダッシュみたいな?”
“高速で移動するスキル……かな?”
「へえ……」
コメント欄を見つつ、俺はチャンピオンの一覧をスクロールしていく。
「うん?このキャラ……」
俺は一体のチャンピオンが気になり、ポチリとクリックして詳細を表示する。
おそらく日本の侍をモチーフにしてデザインされたと思われるチャンピオンだ。刀と風を扱う剣士で、その名も『ヤスオ』。名前も日本風だ。
「かっこいいなぁ」
俺の厨二心がビシバシ反応している。
“あっ”
“そのキャラは……”
“ま、まあやってみないとわからないから……”
“え、何?”
“なんかあるのこのキャラ?”
“あー、まあなんといいますか”
“えーと”
俺は早速、スキル詳細を見つつマッチングに入る。配信のみんながマッチングに入ったからか、すぐにマッチが始まった。
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1デス……まあ、初めはこんなものかと納得した。
2デス……そろそろやばいかなと思い始めた。
3デス……この辺りで、俺のキャラが一瞬でHPを全損するようになった。
そこからデスを順調に重ねていき……そして今へと至る。
「ど、どうしてこうなったんだろうか……」
“あー……やっぱりこうなったか……”
“いわゆるmy team yasuoってやつだな”
"説明しよう。このヤスオというキャラはちゃんと使えば序盤中盤終盤(腐らなければ)強い……だが、操作難易度はとても高いのだ。何せ、火力が高い割にそこまで耐久はない。しかも接近戦タイプだ"
“あのなんか飛ばしてた竜巻は?”
“それは残念ながらスキル三回につき一回しか打てないんだ……しかも敵一体にはヒットさせる必要がある”
ざしゅっ!
俺のキャラが蘇生後約30秒でデスした。右上の0/11/7が、0/12/7へと変化した。
“あー”これは……うん、まあ”
“天使様、Tabキー押してみて?”
「tabキー……あ、はいはい」
俺はコメント欄で指示された通りに、キーボードのtabキーを押す。すると、画面にスコアボードが表示された。
細かい情報は割愛するが、全体のキルは62vs45。もちろん、45がこちらがわだ。
“40分100キルwww”
“泥沼のような試合だな”
“いや、でもここまでくれば装備差なんて関係ない……かも?”
「大丈夫。なぜなら私がいるのだから!」
“私がいるのだから(0/12/7)”
“可愛ければ全てが許される”
“可愛いからよし!”
「いきますよ!」
俺はすでに集団戦が始まろうとしている場所の近くにテレポートして、味方のスキルに合わせてアルティメットスキルを発動する。敵の5人全員にアルティメットスキルが入り、そして俺のアルティメットスキルにより死亡した。
『ペンタキル!』というアナウンスが流れる。
そのまま、敵のネクサスになだれ込み、勝利した。
“????何が起こった!?”
“うおおおおおペンタキル!”
“うまく体力が揃ってたみたいだな”
“にしても奇跡だな……”
“味方の体力的にも、あそこで入らないと全滅してた可能性も高い……つまり、土壇場でチームをすくったな!”
“さすが天使様”
“さすが天使様”
“さすが天使様”
…
…
…
「ふふふ、言ったでしょう?私がいれば大丈夫だと。それでは今日の配信はここまで!また会いましょう!あなたの天使、神乃愛でした!」
俺は試合の熱量そのままに、配信を閉じた。
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