第3話 配信・二回目!

「地上のみなさんに、永遠の愛を!天より舞い降りた愛の天使、神乃愛です!」


俺は昨日と同じように、両手でハートマークを作るアニメーションを再生する。


“天使来たー”

“永遠の愛ください!”

“来たー”

“今日は雑談配信ってま?”


「はい、今日は雑談配信をやっていきます!事前にSNSで募集した話題も参考にしてやっていきますので、ぜひ見ていってくださいね!では最初の話題はーーーこちら!」


『ゲーム配信、どうしよう?』


「私、まだ地上のゲームをよく知らないので、どんなゲームをやればいいのかわからないんですよねー」


“うーん、LoLとか?無料のオンラインゲーム”

“ゲーム自体をやったことないなら、普通のコンシューマーゲームとかがいいんじゃないかな。それこそ、某有名な兄弟ものとか”

“せやな。ただ配信映えするかは……”

“……ホラーゲームとか?(ぼそっ)”


最後のコメントを皮切りに、続々と賛成の声が上がっていく。


“ホラーゲームいいね!”

“女の子の悲鳴……”

“ぐふふ”

“ホラーゲーム……”


…………何だか変態じみたコメントが並んでいる気がするが、気にしないことにする。


「じゃあ、ホラーゲーム……やりたいところなんですが、その……私、無職でお金節約しながら生活してるので、買えないんですよね」


“あー”

“まだ収益化もできてないもんな……”

“まあ、そりゃ天使だもんな”

“天使だから”

“天使だから”

“天使だから”

“天使だから”


コメント欄が『天使だから』で埋め尽くされる。この謎の連帯感、なんだろう……俺は首をかしげつつ、話を続ける。


「なので、ぜひ概要欄に書いてある私書箱にやってほしいゲームを送ってください!」


そんな露骨な宣伝をはさみつつ、とりあえず明日のゲームをコメントの中からピックアップする。


「明日のゲーム配信では、無料のオンラインゲームをやってみようと思いますが……LoL?っていうのがあるんですか?」


“おい誰だこの闇のゲームを進めたやつは”

“おいおい、何を言ってるんだ。みんなでわいわい楽しくやる光のゲームだろ?”

“チャットをミュートにすることをおすすめする”

“FPSの方がいいのでは.....”


何だか不穏な空気が漂っている。どうしようか……俺はしばらくコメント欄をながめて、


「じゃあ、明日はとりあえずLoLをやってみましょう!私の愛があれば大丈夫ですよ!」


俺はそういってウインクのモーションを再生した。


“まぶしい”

“撃ち抜かれた”

“本当にいいのかな……”

“信じるんだよ、我らの天使を!”

“うおおお、天使!天使!”

“天使!”

“天使!”

“天使!”


今日再びのコメント埋め尽くし。なんか、昨日とは全然違う。チラリと見ると、同時視聴者数が1500人を突破していた。チャンネル登録者数は3000人。なかなかすごい数字だ。


「それでは次の話題へ行きましょう!つぎのお題は……こちら!」


俺は配信画面にお題を表示する。


「せっかく地上まで来たことですし、私もこの世界にあるいろいろなものに触れてみたい……ということで、みなさんの『おすすめのコンテンツ』を教えてください!」


“来たー!!!!!”

“やたらとテンション高い人がいるな……”

“布教したいオタクたちが大集合”


「さて、まずトップバッターは?」


“ソードアートオンライン”

“キノの旅”

“Re:ゼロから始める異世界生活”


一気30くらいのコンテンツが並ぶ。俺はとりあえず、適当に上にあったものをピックアップする。


「ソードアートオンライン……ああ、これですね。ライトノベル……へえ、ですゲームもの……面白そうですね」


“ベストセラー”

“現段階でのラノベ界の頂点だな”

“頂点……か?”

“おい、そういう議論は他所でやれ”

“やっぱり安定した面白さを持っているのは事実だな”

“超有名作品だし、下手なネタバレを喰らう前に見たほうがいいと思う”


「へえ……アニメがやってるんですか。……じゃあ、アニメ見てみようかな」


“まじか!?DVD送ります!”

“よ、太っ腹兄貴!”

“ちゃんと新品だよな?”

“もちろん新品に決まってる!ついでに、あのアニメとこのアニメと……”

“おいなんかついでに別のコンテンツも布教しようとしてるぞ”

“……ほっとけ。多分、そいつは無害だ”

“じゃあ俺は原作を送ろっかな。原作派として。ついでにアレとアレも”

"太っ腹兄貴その2"

“オタクって行動パターンおんなじなんだな……”


どうやら、最初にソードアートオンラインと打ってくれた人がDVDを送ってくれるらしい。名前は……久留米紳士。多分ニックネームだ。確か、昨日もいたようなきがする。

そして、原作を送ってくれるらしい原作派の人はタングステンカーバイドというニックネーム。この人は今日から参加してくれているようだ。


「それじゃあ、とりあえず皆さんが送ってくれたものから順に見ていきたいと思います。そうしたら、みなさんと見たコンテンツについての話ができたらなと思います!」


“うおおおおおお!”

“いいなあ。女の子と好きなコンテンツについての話……”

“現実で相手してもらえないからって”

“しっだまっとけ。お前だってどうせ同じだろ?俺も同じだ……”

“ナミダフケヨ”

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