第3話 いよいよ合コン
いよいよ合コンである。
如月とのデートの結果、俺のファッションは黒のストレートロングスカートにぴったりめのトップスという、シンプルで動きやすい服装になった。
俺を着せ替えて遊ぶ如月はとても楽しそうだったということだけ記しておく。
この合コンでの目標は、男子の連絡先二つ。この時のために作ったSNSアカウントを交換することである。
会場は、お好み焼き屋さん。
女子は俺と如月、そしてもう二人来る。そして男子も4人。どういう人が来るかは教えてもらえなかった。
先に入店し、お好み焼きを焼きつつ待機していると、先に女子二人がやってきた。一人はミニスカートを履いた、垢抜けた感じの女の子。もう一人は清楚な雰囲気の、お嬢様感のある女の子。
佳奈にはさすがに及ばないものの、どちらも男が好きそうな感じのかなりかわいい女の子だ。
「佳奈、久しぶりー。元気してた?」
「うん!そっちも元気そうだね、莉子」
「久しぶり、佳奈。そっちが例の?」
「うん、愛ちゃんだよー」
一通り再開の挨拶を済ませた三人の目がこちらを向く。
「えっと……神川愛です。よろしくお願いします」
こんな感じかな?と自問自答しつつペコリと頭を下げる。
「うわ、かわいい。私よりかわいいかも……えっと、鈴木莉子だよー!」
と、垢抜けた方の女の子。
「私は相田凛。よろしく」
「よろしくお願いします」
もう一度ぺこりと頭を下げる。
あまりこのスタイルで活動することに慣れていないので、ウイッグの前髪が落ちてしまう。
髪にかけると、
「あざとい!」
「あざといねー」
と莉子さんと凛さんが囃し立てる。
……いまのどこがあざといんだ?俺にはさっぱりわからなかった。
「……あ、これ素でやってるやつだ」
「うわー、男子受けしそ」
「男の子なのにね」
どうやら二人は俺の性別を知っているようだ。
「それで、莉子。男の子の方は?」
「だいじょーぶ。言われた通り集めてきたよー」
「それと……」
「うん。それもわかってるから大丈夫。まかせて!」
かなり仲がいいらしく、如月と莉子さんはまさに阿吽の呼吸といった感じだ。
そして二人はなぜか俺の両隣に腰掛ける。
……ち、近い。ほぼ密着状態だ。おれは動揺するも、なんとか平静を保つ。
「女慣れしてるねー」
「だね。佳奈といるから?」
と、目敏く俺の反応をからかう二人。俺はたじたじになるしかなかった。
ていうかこの座席配置だと、如月に助けを求めづらい。どうしようか……
「お、来たみたいだよ。こっちこっちー」
と、莉子さんが入り口に手を振る。そして、4人の男の子が入ってきた。
なんというか……不安になる感じだった。
まず、私服がダサい。
先頭から一人目は、なんかジャラジャラとしたキーホルダーを身につけている。ダサい。
二人目は、なぜか制服だ。特に意味もなさそうで、着るものを迷ったから無難にしてみました感があり絶妙にダサい。
三人目は、なんだかデカデカとロゴがプリントされた洋服。ダサい。
四人目は……なんというか、その……卑猥な言葉がデカデカとかかれたTシャツ。ダサいというか、もはや合コンにきてくるには論外な気がする。
そして、四人ともなんか挙動不審である。目線があっちいったりこっちいったり……まあ、胸をガン見してくるよりまし……なのか?
ぶふぉと左隣の凛さんが吹き出し、そのままくつくつと笑い始めた。よくみると、如月と莉子さんもわらいをこらえるような表情になっている。
女の子たちが寛容だからいいが、普通なら一発アウトな気がする。
大丈夫かな……俺の心の中に、何度目とも知れない不安が浮かび上がってきた。
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