第14話 帰ってきた妻(ゴルダ)

なんか今朝からドリスの様子がおかしい。


ハグをしてと言われて嬉しくてギューとしばらくしてやるとドリスが花が咲くような笑顔になり離れた。その笑顔はドリスが変になる前のドリスと似ていた。


しかしいつものように朝食を食べ、ドリスは学園に向かい、俺はレストランへと仕事に向かった。

今日は客も多く忙しかった。この所新メニューが出て繁盛している。貴族達は上品に食べて残す事は結構ある事だが、新メニューが出てからはあまり残さず食べてくれた!シェフも喜んで食材が無駄にならなくてよかった!と喜ぶ。


俺はなるべく男性客か婚約者を連れての食事をするカップルの所に運んだ。例の俺に好意丸出しの女が来ると厨房に潜って他の奴が


「ゴルダさんは今、手が離せなくすみません」

と断ってもらい、俺は避けた。

俺にはドリスがいるし諦めてもらうのを協力してもらってるんだ。


いつもみたいに片付けを終えて仕事を上がって食材を買い俺は走って家に帰り扉を開けると


「おかえりなさい!ゴルダ!」

とエプロンをつけ美しい優しい妻ドリスが笑顔で迎えてくれた!!それは以前の様でまた違うような感じもした。


「ただいま…ドリス…」

するとドリスは飛びついてきた!!えっ!?夢!?

嬉しさにドリスを抱きしめ、くるくる回った。

足がもつれ床に倒れた。


ドリスは俺の上にのし掛かり


「うふふ!おかえりゴルダ!今日はゴルダの好きな肉団子スープにしたわ!」

と言うので


「やった!ありがとうドリス!!」

とお礼を言うとドリスがちゅっとなんと頰にキスした!!


「わぁっ!?」

と驚いて赤くなるとドリスは


「手を洗って食べましょうね!」

とにこにこする!俺は手を洗い確信した。ドリスだ!いつもの!優しい…。

でもどうして急に?思い出したのかな?

俺は夕食を食べながら聞いてみたらドリスは赤くなりもじもじしながらうなづいた。


「今まで思い出せなくて冷たくしてごめんね…ゴルダ…」

と謝る。そんなの


「そんなのいいよ!ドリスのことを信じてたよ!!」

と言うとドリスは申し訳なさそうに言う。


「いや…私も悪い所があったわ。反省しなきゃいけないのよ。ゴルダ…何でも言って?罪滅ぼしに何でもしてあげるわ」

そう言うから俺は赤くなり


「じ、じゃあの…こ、今夜…俺と久しぶりに一緒に眠ってくれる?あ…あの…触りながら…」

と言うとドリスも赤くなる。意味が伝わり俺とドリスはもじもじもそもそと食事をとったのだ。お風呂に入り綺麗に身体を洗う。ドリスに臭いって思われたくなくて。


ドリスは先に入って上がって待っている。

夫婦で愛し合うの久しぶりすぎて初めてのようだ。


お風呂から上がるとドリスはなんか変な座り方してた。床に頭をつけ


「よよよ、よろしくお願いしますゴルダ!」

と言っていた。??


「何してんだ?ドリス?床に頭つけて?」

不思議な行動だけどドリスは礼儀だからと言った。そんなのこの国であったかな?


しかしその夜は久しぶりにドリスと愛し合った。


朝になるとドリスはポーッとして俺の事を見ていた。??


「何かついてる??」

と言うとドリスは首を振り赤くなり


「ゴルダ…って…」

と言い、何も言わず起き上がると


「さ、さあ!仕事よ!今日も一日頑張るわよ!!」

とバンと背中を叩かれる。

??なんかドリスだけど新しいドリスもいて?でも全部ドリスだし俺は気にしない事にした。どんなドリスでも好きなのだから。


それから毎日が楽しかった。ドリスも俺も仕事も順調だったんだ。ドリスが優しくなり帰ると笑顔で抱き合う。


お金が少しずつ溜まってきて俺とドリスは話し合った。


「ドリス…そろそろ新しい家に引っ越す?ここでもいいならいいけど…」

と言うとドリスは


「私も少ないけど合わせれば小さな家くらい買えると思うわ!…ゴルダ幸せになりましょう!」

とドリスは嬉しそうに言い、次の休みに二人で家を探すことにした。


そして可愛らしいオレンジの小さな庭付きの家を発見した。そこに購入を決めて荷物の整理を始める。新居に引っ越す事を同僚達に告げると


「おめでとう!!」

と祝いの為にケーキまでシェフは焼いてくれてお祝い金と支配人が少しお金くれた!!良い人達に囲まれて俺は幸せだった!


しかしその日、浮かれて帰る途中に高級馬車からあの女が現れた!!俺に好意を寄せてる客の女貴婦人だ!!


俺は違う道から帰ろうとして黒服の男達に囲まれた。


「な、なんだ!あんたら!!?俺は家に帰るんだ、退いてくれ!」

今日から新しい家でドリスが待ってるのに!!


しかし黒服達に簡単に押さえ込まれ皆からもらったお祝い物が落ちる。グシャっとケーキを踏む黒服に腹が立つ!でも俺は黒服に殴られてあっさり気絶した。

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