第12話 攻略対象者ホスト教師
攻略対象の美術教師ライラック・フィレ・エイブスと言うピンク髪垂れ目赤目で目元にセクシー黒子の付いた男がいる。
綺麗だったり可愛かったりする子に積極的に迫る根っからのホスト系キャラだ。
女生徒にも優しく教える、ヒロインにも手を出そうとして教師としてどうなのかとビンタを食らわせられ…ヒロインのことが気になりだしちょっかいをかけるうちに好きになるパターンの男だ。
いつもお昼は食堂には来ない。
屋上で女生徒達をはべらしながら皆からお弁当を分けてもらうのだ。
しかしその日は朝から雨で屋上は使えずに美術室で生徒をはべらすのだが…今日に限りライラックはコンクールに出す用の絵が間に合ってなく食堂に注文が入り、まさに出前の如く私は美術室に食事を運ぶことになる。ワゴンでゴロゴロ、外の雷もゴロゴロ。
*
美術室に着くとノックし中から
「入って~」
と声がして
「失礼します」
と扉を開けると布一枚の女生徒が横たわりモデルになっていた。
「マリアンちゃん、君も休憩してきていいよ!!」
「はい!先生!」
と女生徒は服を着て頭を下げて出て行く。
するとライラックはこちらを見て驚く。
「わぁ!!!綺麗なお姉さんだなぁ!!えっ!?な、何?まさか食堂の人?こんな人いたんだ!地上に舞い降りた天使かな?羽の幻が見えるよ!」
と言いながら近寄りいきなり手を掴まれ手の甲にキスされる!
「ひっ!?」
驚き手を引っ込めると
「ごめん!習慣でね!!綺麗な人や可愛い子を見ると挨拶するのさ」
とジロジロと観察されライラックは
「凄いね!完璧なボディラインだ!ねぇ、お姉さん名前は?」
「ドリスですが…」
「ドリスさんか…いいっ!創作意欲が湧くね!ううん!」
と言い、描いていた絵に罰を付けライラックは私に
「ドリスさん…僕の絵のモデルになってくれないかな?」
と言う。セクシーな目線にクラっとする。イケメンのお願いに弱い!!
「ふふ、お礼は身体でしようか?」
とウインクされ、つい赤くなるが首を振る。
「ふん!私は安くないわよ!絵のモデルならさっきの子がいるじゃないの?」
「ふふ、さっきの絵はダメにしたよ。ドリスさんを見たら創作意欲が湧いたよ!!ね?お願いだよ!賃金は出すよ!!」
と近寄り肩を抱き見つめられる。私はドンと突き放しバシンと叩く。
「失礼ね!女が簡単に靡くと思わないでくれない?気安く私に触らないでよ!女ったらし!」
と言うと驚くライラック。
「……あ、はあっ!なんて人…怒る姿も美しい!!!是非モデルに!!」
と恍惚になる。ヤバいな油断したら食われる!
「嫌です!さっきの子みたいに布一枚なんていやらしい!!賃金を貰っても断ります!」
と言うと
「お願いだよ!ドリスさん!君にインスピレーションを感じた!貴方がモデルになってくれたらコンクールで優勝間違い無しだ!賞金は山分けでもいい!!」
と言われて私は迷う。山分け!?金に目が眩んだ。それならゴルダの下から直ぐにでも出て行けそうね。うーん…
「か、考えておきます!」
と言いその日は断る。
てもどうしよう。
帰宅につき、部屋に戻るとゴルダが元気になり迎えてくれた。待ってましたと言わんばかりに嬉しそうに微笑み、私は胸が何故かキュウとした。
「おかえり!!お疲れ様!ドリス!!俺元気になったよ!明日から仕事行ける!!」
と言う。熱も引いたし頰も無事に腫れが治まったから接客できるだろう。
私は…とりあえず相談してみた。
するとゴルダは怒りだした。
「ダメっ!そんなの!いくら賃金出るからって!ぬ、布一枚のモデルなんて!絶対にそいつはドリスに手を出すよ!!決まってる!ドリスみたいな魅力的な女はいない!出さない男はいない!」
と言う。何なのそれ!
「失礼ね!私はそんな軽くないわよ!」
「ドリスは分かってないよ!絵のモデルになんて裸になる必要がある!?服を着てたって問題ないのに!そもそもダメだ!こんなの!絵を描くためにジロジロとドリスを見るなんてどっちにしろ俺は許せない!!」
「な、何で…」
するとゴルダは
「ドリスは俺の妻だから!」
「そんなのゴルダの勝手よ…」
と言うとゴルダは首を振り
「いや、俺達は夫婦なんだよ?ドリスが忘れたなら、もう一度夫婦になるさ!!」
と言う。いや、私の気持ちは?
でもヤキモチを焼かれるの悪くない。
「…でもお金が…」
「お金なんてどうだっていい!お願い!そいつにもう近寄らないでドリス!お願いだよ!俺はドリスのこと大好きだよ?お願い…!」
と泣きそうになるゴルダ。
「だって私は…」
「そいつの絵が優勝するなんて決まってないよ!?金なら俺も頑張って貯めるんだし!」
と必死なゴルダ。
「会ったばかりのそいつのこと好きなの?ドリス」
と聞かれる。と言っても攻略対象だし色気あるライラックは魅力的なのよね。
うーんと悩む。ライラックが優勝するのはゲームで知ってるのよね。ヒロインをモデルにして優勝するんだもの。そしてヒロインとその後、君のおかげだとか言って愛し合うのよね。
「顔がいいだけね」
とボソリと言うとゴルダは
「えっ…」
と言う顔。
「まぁ、馴れ馴れしいから私は断るわよ」
と言うとゴルダはパッと明るくなり
「本当!?絶対だよ?ドリス!断ってね!!」
と念を押す。そんなに嬉しそうな顔しないでよ!
バカね。
*
ゴルダと約束し、私は次の日断りを入れた。するとライラックは
「ふーん?いい男でもいるのかな?その人とはいい関係なの?羨ましいな…。ねぇドリスさん?一度でいいんだよ?」
と肩に手を置かれ頰を撫でられる。
「ちょっとやめて!」
と引くとイケメンにとうとう壁ドンされる!!
か、壁ドン!!と少し感動した!!
しかしこれは間違いなく迫られている!!何故かゴルダの顔が浮かび、私は突き飛ばそうとしたが手首を掴まれて
「抵抗するドリスさんも可愛い。ふふ、僕の口づけでとろけて」
と言い迫る。ぎゃーーーー!!
と思っていたらそこへ昨日のモデルの女の子が入ってきて
「先生!何してんの!酷いっ!そんなおばさんの方がいいの!!?」
と言い怒り、手には掃除の箒を持ち震えながら振り回してきた!!
「うわっ!!やめなさい!!リーシュ!!」
「うるさいいい!散々私の心を弄んで捨てるなんてええええ!!!許さないわよおおお!」
とリーシュと言う生徒は我を忘れている!私は低姿勢で四つん這いになり逃げ出した。そっと中を覗くとガツンと頭にくらい気絶しかけたライラックにリーシュか馬乗りになり
「先生!本当にリーシュを捨てるのですかっ!!」
と怒鳴るとライラックはぶるりと震え
「ああっ!リーシュ!美しい!嫉妬に狂う君は私の心を鷲掴みにする!美しい!やはり君を描こう!!君しかいない!」
とか言っていた。
は?
何それ?私にも昨日君しかいないとか言って…。
あ、そう言えばヒロインもライラックのこと怒ってた!私は悟った。こ、こいつ!ライラックは、どどどど、ドMなんだ!!
流石に引いて私の熱は冷めた。
イケメンだけど嫌だわ。
そしてとうとうリーシュとライラックはイチャイチャしだしたので扉を閉めて私は食堂に戻って普通に働いた。
なんか虚しかった。
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