第11話 高熱だけど(ゴルダ)
俺は情けなかった。
昔から喧嘩は弱い…。頭も弱い。だから直ぐ周りからバカにされて生きてきた。
今の仕事は支配人は怖いけど親切だ。料理をゆっくり運んでも多めにみてくれた。なんでかと言うと自分の子供も脳に障害があり俺の気持ちがわかり雇ってくれたんだ。
ドリスが戻ってきてもドリスはどこかよそよそしかった。記憶もやはり戻ってなかった。それでも仕事から帰ると部屋にドリスがいて夕飯を作ってくれてることが俺は何より嬉しかったんだ。
ある日ドリスは新しい服を買ってた。
でもそれは俺の為じゃなかった。ドリスは他の男とデートするみたいだった。
自分とデートしてくれるのかと浮かれていた気持ちが沈んだ。
デートの日ドリスに
「……ドリス…とても綺麗でよく似合ってるね」
とにこりと笑い
「…行ってらっしゃい…怪我しないようにね」
と送り出した。
それから俺もドリスの後をつけた。
ドリスは若い男とデートしてた。
でも途中からドリスが元花売りだった頃の雇い主が現れて若い男はドリスを見て青ざめて行ってしまった!なんだあの男?ドリスはしょんぼりしていたがそこに変な二人組が現れて馴れ馴れしくドリスに話しかけて暗がりにつれてこうとして俺は走りだしたんだ!
ドリスを助けようとしたが逆に俺は男達にボコられた。情けない姿をドリスに見せた。
一方的にやられドリスが悲鳴を上げ助けを呼ぶと警備隊が来るまで耐えた。全身痛く、頬も殴られて腫れる。
支配人に接客は顔が命と言われていたので顔を怪我したら仕事に出れない。
事情聴取が終わり薬屋に行く。昔ながらの店主は俺の変貌に驚いていたし薬代をサービスしてくれたのに感謝する。
*
それからドリスは俺の為に翌日支配人にしばらく休むことを伝えに行ってくれたのだ。
ドリスがいなくなり熱が上がってきた。痛いし熱いよ。水を飲もうと立ちあがろうとしてぐる回る。
力無く倒れてしまう。
そこへドリスが帰ってきて驚いて駆け寄った。
「ちょっと!何?あんたしっかりしなよ!!うわっ!凄い熱!!お医者呼ぶ?」
と言うから
「…い、い。お金もったい…な…水…」
となんとか言うとドリスは水を持ち
「大丈夫?ほらお水よ」
とグラスに水を入れて持ってきた、視界がぼやけるよう。苦しい。でも何とか薬と水を飲み込む。それからドリスが
「頑張ってベッドまで行こう!」
と手を貸してくれふらつきながら倒れた。意識も朦朧だ。
「うっ…熱い、痛い!苦しいよう!」
と俺は泣いた。ドリスは布を搾り額に置く。
汗がドッと出る。ドリスは仕方なく前をはだけ拭くがそこで俺は意識が途絶えた。
*
目が覚めると薬が効き汗も止まっており頭も楽になっていた。ドリスは疲れてソファーで寝ていた。看病してくれてありがとうドリス。
それからも体力はあまり戻らず食欲がないがドリスはパン粥を作り食べさせられる。
「だいぶ下がったみたいだしたくさん水分を取れば大丈夫よ」
と言うので感謝を伝える。
「ありがとうドリスがいなかったら俺…死んでたかも」
「…私のせいだしね…」
とドリスは俺がボコられたのを気にしていたらしい。
「ドリスのせい?違うよ。俺が弱いからだ。抵抗するのに慣れてない…。騎士団や冒険者にも向いてない…」
「でも仕事は見つけれたじゃない。顔がマシだったんでしょ」
「うん、俺一生懸命こぼさないように運ぶんだ。注文も見習いで間違えるけどお客さん許してくれたりしたよ」
「ふーん、よくやってるわね」
とドリスに褒められて嬉しい。
「私は明日からまた食堂で働くけどあんたはもう1日念のため休んどきなさい。治ったように見えてぶり返す時もあるからね。と言われる。
「わかった。ドリスありがとう」
お礼を言うとドリスは少し赤くなり
「ふん!」
と自分はソファーに行く。
俺もしかして熱で倒れて良かった?ドリスがなんだかいつもより優しく見えた。
いや、ドリスは元々優しかったんだ。今は昔と違うけど…嫌いなら放置されるもんな。
ドリスが夜中眠った後、俺は起きてドリスが寝ているのを眺めた。
この美しく綺麗な妻と別れるなんて俺は嫌だ…。早く元気になってお金を貯めよう。
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