第8話 イケメン幼馴染攻略に乗り出す
私が次に目を付けたのはヒロインのイケメン幼馴染だ。ヒロインのティナはもう王子の方に傾いてるからこっちはいいわよね。
なんと言っても同じ庶民だから王子のようにあしらわれることはないかも。幼馴染の名前はクリス・ローファー。ローファー商会の一人息子で将来はローファー商会を継ぐのだ。庶民でも生活には困らないだろう。
前回はお金持ちの玉の輿を狙い失敗したからなー。それにクリスだってヒロインが王子とイチャイチャしてるのを見て傷ついているかも!今の私なら慰めてあげられるかも!!
食堂に来ないかな?と待つが庶民だけあり食堂に中々寄り付かない。もしかしたらお弁当を持って来てるのかも。
クリス攻略でヒロインはよく昼休みはクリスと裏庭の木の下でお弁当を食べさせ合いっことかしてた!と思い出した。でも昼時は忙しく食堂を離れられない。しかし私は仮病を使いメルおばさんに少しだけ離れると告げ、トイレに行くふりをしてささっと食堂の飯を詰めて走った。
待っててクリスー!
と裏庭の木の下へと行くとしょげたクリスがいた!!しかし周りには庶民の女の子数人がクリスに自分達のお弁当を分けていた!!げえ!もう先越された!!?
「ありがとう皆!」
と青い髪に青い目のイケメンクリスはヒロインに振られ切なそうに笑うのに周りの女生徒は心臓を撃ち抜かれたように自分のご飯を与えていた!出遅れた!!
どうしようかと思う。そうだ!私は汚い手を思いつきわざと通り掛かり見えるところで転ける演技をしてみた!
するとクリスは立ち上がりこちらに来た!
「お姉さん大丈夫!?」
と手を差し出し私はその手をガシッと手を掴み
「あ、ありがとう!私ったらドジね!てへ!」
と笑ってみせ、
「ああ!でもご飯が!」
と落としたランチを指してガックリして見せた。
「まぁいいわ。食堂に戻ったら沢山あるし」
と言うと
「ん、食堂の人でしたか?それなら良かった。俺はいつも弁当だから近寄らないけど」
と言うのに見逃さず
「助けてくれたお詫びに無料で食べに来て?サービスするわ!」
と手をがっしり握り微笑みそう言うと断れない良い人なクリス君は
「わ、わかりました…またお邪魔します」
と笑い
「約束よ!来てね!!」
と私は待つことにした。女の子達は遠目から
「何あの女!」
「年増のくせにクリス君に近寄ってんじゃないわよ」
「折角ティナがいなくなったのに!」
と睨まれていた。
るんるんで戻るとメルおばさんにもう腹は大丈夫かと聞かれて仕事に戻る。
*
次の日に早速キョロキョロと食堂に入って来たクリス君を見つけて私は小走りで近寄る。生徒達は美人の私の揺れる胸を見て顔を赤くしたりしているのが見えた!ふふ!美人万歳だわ!!
「あ、昨日のお姉さん。あの俺…」
「来てくれてありがとう!さあ、こっちの席空いてるからどうぞ!」
と席に案内してメニューを渡す。
「何でもいいのよ?」
とわざとかがみ胸が見えそうなくらいにするとクリス君は気付いて赤くなる。ふふ!可愛い!!イケメンだから見られても許すぞ!!
「じ、じゃあこのパンと豆スープとチーズも」
と庶民的な注文で遠慮しがちだ。
「わかったわお肉もこっそりサービスするわ!」
とウィンクして頭を撫でるとかあっとクリス君は赤くなる。おお!可愛いわ!やはり若い子はいいわ!
とにこにこと配膳し大きいお肉も付けてやる。メルおばさんは呆れて
「あんた…次はあの子かい?」
と言われて正直に
「可愛いでしょう?うふふ」
と笑って食事を運ぶ。
「ありがとうございます…お姉さん」
「私はドリスよ」
「ドリスお姉さん…俺はクリス…クリス・ローファー…」
と言い、
「あらローファー商会の?あそこの商品いい品質のものが多いわよね。私はまだ香水なんて買えないけどいつかお金を貯めて買うわ!」
と言うと
「ドリスお姉さんならきっと似合うものがありますよ」
とにこっとされた。
「うふふ、ありがとう!!明日も来てくれると嬉しいわ!」
と言うと
「でも…毎日は無理かな…食堂は高いし」
「そうよね…でも折角知り合えたのに残念だわ。たまにでもいいの。顔を出してね、待ってる!」
とキラキラした顔でお願いするとクリス君は胸を押さえて赤くなり
「はい、よ、余裕がある時に…」
とうなづいた。やった!これは脈アリね!!
とウキウキと仕事を片付ける。
メルおばさんはため息をつく。
「あーあ、あんた…そんな簡単じゃないと思うけどね?ローファー商会は庶民の間でも裕福だからね。良いとこのお嬢さんが嫁に来るかもね」
と言う。ぐっ!確かに!でもその前に私が彼を落とせば問題ない!イケメンと幸せな生活をする為に頑張らなきゃ!
*
部屋に帰るとゴルダが今日は先に帰っていて食卓には花が飾られていた。
「どうしたのこれ」
「綺麗な花を見つけてへへ!」
とゴルダは照れる。まぁ別に良いけど。
「ドリスも今日は嬉しそうだね?良いことでもあったの?」
と聞かれギクっとした。
「別に何でもないわよ!食事を作るから退いてよね!」
とキッチンから追い出した。
どうせこの家なんか直ぐ出て行くんだしゴルダなんて夫じゃないんだから!私は別に浮気をしようとしてるわけもない!自分の好きなイケメンと幸せになる為に頑張るんだから!相手は別にゴルダじゃない!!
と言い聞かせた。
「ドリスの夕飯いつも美味しいや!ありがとう!俺嬉しいなぁ!こんな妻がいて」
「だから妻じゃないってば!」
と否定しても笑うゴルダ。全く勘弁してほしいわ!
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