第7話 戻ってきた妻(ゴルダ)

レストランの仕事帰りに小麦粉を切らしていたから卵ミルクと一緒に買う。俺が作れるのパンケーキのみ。粉を混ぜ合わせて焼くだけ。見た目は気にしない。お昼はレストランで残ったものを貰えた。

支配人が厳しくてシャツにソースが付いたら怒られる。服装に関してやたらと厳しいがあんな高級店で働けるのだから我慢する。


前よりもいい部屋で俺は休みの日は掃除していた。ドリスが戻って来ないかと思いながら。

そして帰り道にドリスがベンチに座りぐすぐすと俯いているのを見つけた!!


俺は直ぐにドリスに駆け寄るとやっぱりそれは美しい茶髪の髪の綺麗な俺の妻だった。


「ドリス?…やっぱりドリス!!」

ドリスは一瞬誰かわからなさそうだったが俺の声を聞いて


「は!?はあ!!?あんたまさか!!ゴルダー!?」

と驚いた顔をした!初めて見たような顔。記憶は戻ってないらしい。


「そうだよ!俺だよ!ドリス!!」

と嬉しくて隣のベンチに座る!!


「あ、あんた…ゴルダなの!?本当に…そんな!あんなに汚らしく…」


「ドリスがお金持ちの男がいいって言うから俺…頑張って髪を切り髭も綺麗にして高級レストランのウェイターに雇ってもらえた!貴族達が来店すんだ!接客きちんと習って頑張ってるよ!


部屋も新しい綺麗な部屋借りたんだ!!」

と俺は説明した。でもドリスは浮かない顔をしていて、話を聞くとどうやら王宮をクビになったらしい。しかも職場で俺のドリスの胸や尻を触る奴等がいるとか。ゆ、許せない!!俺の妻に!

ドリスは綺麗だ。昔花売りの男に目をつけられるくらい豊満な胸だしスタイルも良かった。

だからこそ他の男が触るのなんて許せない!


「ドリス!お尻や胸を触られたって!!?酷い!俺のドリスになんて事を!!信じられない!!ドリス大丈夫だよ!行くところないなら俺の部屋においでよ!!」

と言う。


「ゴルダ…何もしないでしょうね?」

と警戒された。俺はそんな事しない。ドリスが嫌な思いをするなら指一本触らない、


「…可哀想に。ドリス。俺はドリスの許しがないと触ったりしないよ!!俺のことを忘れて悲しいけどいいよ。ドリスが部屋にいてくれるなら喜んで」

と言う。


「あっそう。ならお金が貯まるまでは居てあげるわ。結婚じゃないからね!」

そう言ってくれまたドリスと暮らせると思うと嬉しくてたまらない!!


ドリスに俺の新しい部屋に入ってもらう。

ドリスにパンケーキを作ってやるといつもこんなのばかり食べてるのかと怒られて次の日からドリスがご飯を作ってくれるようになった。

ドリスはまた学園の食堂で働き始めた。

金を貯めて出て行くと言ってるけど…何とかならないかな。


ある日仕事中に貴婦人が俺の方によろけてきた。体調でも悪いのかと支えたらシャツに口紅が付いた。もうすぐ終わりの時間だからと支配人は見逃してかれたけど俺は厨房で皿洗いをした。

厨房の男は


「やるね!流石色男!!」

と揶揄われたが俺は


「あのご婦人は体調が優れなかっただけだよ。偶然着いちゃったんだ。俺には妻がいるし」

と言うと


「え?結婚してたのか?ゴルダ!びっくりだ。結婚指輪もないから独り身だと思ってたよ!」


「指輪…高くてまだ買えなくて…」

としょんぼりすると


「そうか…ごめんよ。でもそれ落とすの大変だな。頑張れよ」

と何故か慰められ帰宅したらドリスはシャツの口紅を見て驚いていた。俺は説明したらドリスが洗ってくれるといい嬉しかった。他のシャツに着替えてドリスと夕食を取る。俺は今日の出来事やらをドリスに説明しながら楽しく食べた。美味しい!!余り物だけどドリスは温まるだけでなくちゃんと野菜を増やしたりしていた。


俺はこの時間が一生続けばと思ってしまう!

そうだ!ちゃんと指輪を買って今度は俺からきちんと結婚をやり直そうと言おう!!


俺は頑張ってお金を貯まるんだ!家も指輪も買えるくらい金持ちになるんだ!!ドリスに認めてもらえるように。

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