第4話 妻がおかしくなった(ゴルダ)
ドリスが記憶を無くしおかしくなりまるで俺の事を汚い目で見る…。
前はこの髭もじゃは切らないでねとゴルダは言っていたので切らなかった…。
結婚してから伸ばすようになりすっかり素顔は隠れてしまった。
俺はダメな男で人より頭が最高に悪かった…。仕事の覚えも遅く鈍間で直ぐにクビになる。
俺は生まれつき頭に少し障害があるようだった。
落ち込んで夕方になると水辺に腰掛けて遠くを見た。
泣けなしの金でも酒は買える。
酒は嫌な事を全て忘れてくれた。
明日からどうしよう…とか寝るところ…食事…。
子供達が母親と父親に挟まれ帰宅する光景をただぼんやり眺めている。
数日経ち、このまま死ぬのかと地面で寝ていた。
すると…。綺麗な花を持った女の人が馬車から出てきて雇われ主らしい男に
「ドリス!ちゃんと売ってこいよ!?今日がお前のデビューだ!逃げたら許さねえ!ちゃんと見張っているからな!なるべく金持ちに売れよ!」
と男に言われ怯えていた。
「ひ…わ、わかりました…」
花売り…頭の弱い俺でも聞いたことがあった。要するに娼婦みたいに身体を売りお金をもらう仕事…。
俺は起き上がり監視している男の後ろに音もなく近付いて…拾ったレンガで殴り付けた!
男は気絶して懐からゴロっとお金の袋が落ちて…俺はとっさにそれを拾い逃げ、そして花売りのあの姉さんのとこに行って手を掴み走る。
いきなりで訳がわからないお姉さん。
しかし雨が降り俺たちはとてもボロい小屋を見つけた。お姉さんに俺の家と嘘をついた。
だいぶ前に廃棄された家らしかった。
濡れた前髪をかき分けているとお姉さんが俺の顔を見て驚く。
「貴方…とても綺麗な顔をしてるのね!!?」
「?お姉さんのが綺麗だけど」
するとお姉さんは震えつつも服を脱ぎ出したので俺は
「わっ!!ちょっと!そういうつもりじゃ!!」
と目を背けたがお姉さんは止まらなく…寄ってきた。
「貴方になら初めてでも大丈夫…」
と赤い顔で見上げた。ごくりと喉が鳴った。お酒を飲んで忘れるしかなかった辛い日々…。目の前に俺の事を求める人がいた。
両親が火事で死んだ時を思い出した。俺は親戚の家で使用人か奴隷みたいに過ごしたけど頭のせいで覚えが悪く他の奴隷や使用人の方が仕事できてまたそこで虐められた。俺の居場所はどこにも無かったんだ。
辛い日々にうんざりして成人すると親戚の家を出て仕事を探したけどいつも失敗した。
何もわからなくて…できない仕事を直ぐにクビになり僅かな金を頼りに生きて…。
俺はその事をお姉さん語るとお姉さんは静かにうなづき抱きしめた。暖かいと感じて泣けてきた。お姉さんは俺の涙をキスをして癒した。
「助けてくれてありがとう。私ドリスよ。貴方は?」
「ゴルダ…ぐす…」
と言うとドリスは
「ゴルダ…私…あの男の元で働きたくないわ…私をその金で買い取り私をお嫁さんにして?」
とあの男から奪った金を指差した。
お姉さんはそう言い…
「この小屋も買い取りここで私と暮らしましょう?私が働いて貴方を養うわ!!」
「!でもいいの!?俺となんて…」
「当たり前よ。ちゃんと綺麗に掃除して一緒に住みましょうね!私と結婚して!貴方ならいいわ!…」
会ったばかりだけどお姉さんはにこにこと優しそうだった。
「でも俺…本当に仕事が見つかるか…酒も飲むよ?お酒飲むと嫌な事忘れられるから」
と言うとドリスは
「いいわ。お酒くらい。私が働き貴方と暮らす。貴方は私の夫になる。結婚してくれる?」
と目の前のお姉さんは懇願した。
茶色の髪に綺麗な緑色の瞳が薄明かりに揺れていた。顔はもう怯えていない。
「そうだ…ゴルダ…結婚したらその綺麗な顔を隠してくれる?今も前髪が長くて目は隠れてるけど…貴方が他の人にモテたら嫌だからお髭も伸ばして?ね!」
ともじもじして擦り寄る。
俺は女の人にこんなに迫られたことや好意を持ってもらえた事も誰かと恋愛のようなことをした事は無かった。それにドリスは美しく優しそうで安心できたので
「うん、わかった。ドリスの為に髭とか伸ばしてみるね…けけ結婚もするよ!」
と言うとドリスはとても嬉してそうな顔をして、
「良かった…やっと終わるわ。私…好きな人と幸せな結婚をするのが夢だったの!!だから嬉しい!私の初めても貰って!?」
とドリスが服を脱ぎ手を広げて招き俺は…その夜ドリスと結ばれたんだ。
ドリスは何度も俺の事を好きだと言ってくれた…。俺も好きだと言った。俺たち両想いだ。初めて出会い一瞬で恋に落ち結婚した。
ドリスが結婚してと言ったからする。
それだけで俺は結婚した気になっていた。
俺はドリスの夫でドリスに愛されて生きるのだ。
*
そうしているとドリスは何とアルヴェル学園の食堂で働くことが決まり俺は…僅か残ってた金で酒とドリスの為に少し綺麗な洋服を売ってもらった。黒い服だったけど…。
ドリスにプレゼントしたら喜び
「お金は無くなったけど明日から私が学園で働いて稼いでくるわ!!うふふ」
と喜んでくれお祝いにとお酒を飲み愛し合う。
そしてドリスは毎日朝出掛けて少しお金と余った食事を持ち帰り俺を養ってくれた。
ドリスの為に俺も仕事を探すけど見た目でクビになる。でもドリスが髭や髪を切らないでと言っていたからこれは譲れなかった。
そんなある日…夜中に起きたドリスに床で酔って寝ていた俺は踏まれた。
ドリスの様子はおかしく怯えて俺が誰かわからないようだ!?
どうしたのだろう?
しかしドリスは罵声を俺に浴びせ出ていけと何度も言う。アルヴェル学園で働いてる事を言うと僅かに沈黙し考え込んでいた。これは何かの病気かもしれない!!
俺はドリスが持っていた給金を持ち薬を買いに行ったがドリスはその後家に鍵をかけ入れてくれず俺は扉の外で寝た。朝になるとまたドリスに踏まれた。
ドリスは怒り出掛けて行った!
それからドリスが帰るまで待ち帰ってくるとまだいたのかと言う冷たい目で俺を見た。
嫌いと言われショックだった。あんなに俺の事を好きだと言ったドリスに嫌われている?何故?もしや俺夜の事でドリスに嫌な思いをさせてたの?俺がドリスに出来ることそれしか無かった。
しかしドリスは俺の事を思い出さなかった。まるで別人になったみたいで俺の事を汚いやら何やらで乏しめて金持ちと結婚したいと言った。
俺は出て行き何とか仕事を探す為に数日町中を彷徨うとおじさんが通りかかり
「お前さん仕事を探しとるならうちの前のドブ掃除してくれんか?」
と言われて俺はうなづいて仕事が決まったと喜び家に帰るとドリスも帰ってて報告した。
きっと喜んでくれると思ったがドリスの態度はやはり変わらなく離婚したいと言われたがドリスとは離婚したくなかった!
しかしドリスはなんと荷造りしていて王宮の厨房に採用されたと言い出ていった。ドリスに捨てないでくれとしがみついて泣いたけどドリスは行ってしまった。
そんな…ドリス。うう!初めて好きになったのに。記憶を取り戻して欲しかったのに…ドリスはもういない。俺の知る優しいドリスは…。
溝掃除をして俺は金を貰った。その金で床屋に行き…服を買い身なりを整えてみた。そしたら街の女の子やドリスみたいな花売りが寄ってきたけど俺は無視した。
ドリス以外要らないよ。
仕事も決まった。レストランで料理を運ぶ係になった。レストランは上流階級の客で溢れて給金が良かったので俺はボロ小屋を捨て少しいい部屋を借りた。
ドリスが戻って来れるように整えた。ちゃんと働きドリスを迎えに行く!!俺はドリスの夫なんだ!!ドリスが唯一なんだ!
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