第2話 いざ学園へ

朝になり太陽の光で満ちて私は目を覚まして窓を開ける。すると街並みが見えた!!この街…乙女ゲーム「月の夜は一緒にいて」に出て来る街だ!!


ヒロインも庶民でここから学園にへ向かうはず!ヒロインの後をつけて学園へ行こう!

私は身支度をする為ボロ家の中で服を探し回るが1着だけ外行きの外套や黒っぽい服を発見して着る。


「何よ!1着って!なんて貧乏なの?」

そう言えば男が私の稼ぎで酒を飲んでると言っていた!冗談じゃない!あいつもしや無職!?

追い出して別れて正解!私はイケメンと恋する!年下とか関係ない!


幸い私の顔はモブと言え綺麗な作りだ!というか美人!これならいける!


と窓を見ているとなんとヒロインの女の子がるんるんと向こうから歩いてくるのが見え私は家から出た!!


しかし玄関で寝ていた男がいてまた踏んづけた!!


「いでぇ!」

と男が起き上がり目を覚ます。まさかこんなとこで寝てたなんて!


「あっドリス?もう大丈夫か?薬飲むか?」

と汚い袋を取り出したが無視して


「邪魔よ!!どいて!!あんたとは別れるって言ったでしょ!!」

と男を蹴り私は急いでヒロインを追いかけた!!


「ドリス?ドリスー!」

と悲痛な男の声がしたが無視した!


ヒロイン…ティナ・グライド。

亜麻色の長髪の綺麗な菫色の瞳を持ち清楚可憐な美少女。ちっ!私も若ければ…

と思うが今は後をつけて学園に辿り着く。


そしてとうとうアルヴェル学園に到着した!ゲームで見た通りの外観だ!!


私はゲーム知識を思い出し、学園内の地図を思い出す。


「そうだ、確かこっちが食堂!」

と歩き出した。そして辿り着いた!!私の職場。


食堂に入るとゲームで見た光景。長い机が並ぶ。2階建で上の方は金持ちでいつもあの席にあのキャラが座るのよね!

とボウっとしてたら


鍋を持ったおばさんがやってくる。


「ドリス!あんた遅刻だよ!!何してんだい!?」

と怒鳴る。うるさい。


「ごめんなさい…」

としゅんとすると


「新婚で悪いけどね、ちゃんと仕事しなよ」

と言われて私は


「夫とは別れます。本当にすみません。明日から早く来ます。実は頭を打って記憶が少し混乱しております」

と言うとおばさんは驚き


「はっ!?はあ???嘘だろ?あんた昨日まで幸せそうに『ダメなゴルダの為に今日も頑張るわ♡』とか言っていつもニヤニヤしながら働いてたのに!どうしちまったんだい?


頭って医者には見せたのかい?ああ、金がなかったんだね?あんた相当貧しい暮らししてるから」


やはりか。あの髭もじゃのヤツ許さん!!


「もうそのゴルダさんとは別れますので今後話を振らないでくださいね?私玉の輿に乗るんで」

と言うと


「は?たまのこしって…なんだい?」

と聞く。


「お金持ちと結婚します!!」

とガッツポーズを取る私をポカンと見るおばさんは


「…ドリスが…おかしくなっちまった」

と呟いたのだった。


それから記憶が抜け落ちた私にさっきのおばさんメルさんが丁寧に教えてくれた。私は覚えきちんと料理を作った。

大きな鍋に大量の仕込み。生徒が沢山いるからね。


昼時になり生徒達がちらほらやってきて注文をして厨房では忙しくなる。そしてとうとう攻略対象のマクベル・フォン・ウィンセル王子が現れた!

高貴な金髪で翠の瞳だ。


「ふん、いつものまAランチを頼む!」

と言い気取る。王子はいつも2階席のあの席で高級ランチを食べているのだ!


「畏まりました!!お席でお待ちくださいね!!」

思わず私は王子の手をぎゅっと握りにこりとしたのでザワッと周りが騒いだ。


「何をする?」

と聞かれ私は手を離し


「大変失礼致しました!!王子の手がとても美しくて!!」

と言うと王子は


「いつも手入れはさせてる。まぁいい、さっさとしろよ?手を抜いた料理など運んだらお前はクビだ」

と言われる。カッコいい!!

年下とか関係なくない!?いけるよ!

この時間しか会えないなんて貴重だから頑張らないと!!


そして料理長からAランチを受け取り私は丁寧に運ぶ。

王子の待つ席は皆から尊敬されていた。


「王子!Aランチをお持ちしました!」

とテーブルに置いてあげると


「ご苦労であった!」

と言う。私はソワソワして後ろに下がると


「?何してんだあんた?もう行っていいが」


「あ、すみませんあの…切り分けた方がよろしいですか!?」

と言うと執事が前に出て


「それは私の仕事ですので行っていいですよ?」

と邪魔される。ちっ!執事のくせに!

と思ってるとそこへ


「マクベル様ぁ!お待たせしましたわ!」

と豪華なドレスを翻して悪役令嬢登場だ!!

銀髪で蒼目の美少女にギリギリする。


「遅いぞ。さっさと注文してこいレイラ」

と機嫌悪く王子は言う。


「ごめんなさい!そこの貴方!私も同じAランチを頼むわ!」

と言い王子の向かいに座り話し始めるが


「レイラ・ウェル・シーランド様…生徒様は下で注文を受ける事になっております」

と言いにこりと言うとレイラは


「何よ?そんなの…うちの執事が下に言ってるわよ!バカじゃないの貴方!」

すると王子は


「レイラ!うるさい黙れ!お前のクルクルな髪を見ているだけで食ったものを吐きそうになる」

と言われてレイラは顔面蒼白になる。ざまあ!!


王子はさらに食べ終わり私に


「美味かった。明日も美味しいAランチでないと許さない」

と言い颯爽と出て行く!はぁーー!カッコいい!絶対結婚したいわ!!

と私は目がハートになる。レイラはそれに


「たかだか食堂の女の分際で生意気ですわよ!?婚約者の私を差し置いてでしゃばらないでくださらない?」

と言う。私は


「この学園におきましては庶民でも高貴な方との会話は許されておりますので!ましてや食堂のマナーも守れないような生徒様には学園長に報告させていただきたいですわ!」

とバチバチと庶民舐めるんじゃねぇと年上からの威圧で遣り合う。


「くっ!庶民のくせに!どいつもこいつも!!」

とレイラは悔しがる。ふ、小娘が!あんたにはイケメンはやらないわ!引っ込んでなさい!悪役令嬢!!


と私はレイラと戦う気満々だ。

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